感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-21 UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん』(2017年6月10日(土)

NHK 幻解! 超常ファイル ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー http://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 
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幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー 内容・感想一覧

 

『File-21 UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん』 (2017年6月10日(土) 22:30~23:30)

 

内容

6月10日土曜
NHKBSプレミアム 午後10時30分~ 午後11時30分
幻解!超常ファイル21「UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん


中世の絵画にUFO?古代エジプトに飛行船?宇宙人は大昔から地球に来ていた?人類とUFOの意外な関係が明らかに!後半は、こっくりさんで起きる恐怖事件の原因に迫る。


危険でドキドキの最新作!超常現象を検証し“本物の不思議”を楽しむ60分。【UFOと人類、禁断の秘密】中世の絵画にUFOが!?古代エジプトの壁画に飛行船!?宇宙人は大昔から地球に来ていた?あなたの前で、人類とUFOの意外な関係が明らかになる!【危ない!こっくりさん】子どもたちに大流行の心霊占いで、参加者が暴れ失神すると、無関係の人にも広がる!たたりなのか!?実例の研究分析を元に、恐怖の原因に迫る。

●1.UFOと人類

 2017年6月は、アメリカのアーノルドが1947年6月に「空飛ぶ円盤」に遭遇してからちょうど半世紀である。しかし人類はそれより遥か過去からUFOに遭遇していた!?

 例えば中世の宗教画でキリストの磔刑(たっけい)や聖母マリアを描いた絵には、空に奇妙な物体が浮かんでいる物がいくつも発見できる。つまりキリストの時代からUFOは地球に来ていた、ということなのか!? それどころか、古代エジプトのピラミッドには飛行船やヘリコプターを描いたとしか思えない絵が確認できるし、メキシコのパレンケのマヤ文明の遺跡にはロケットに乗る人間の姿が描かれているのだ。

 しかし、実はこれらはUFOや古代超文明とは何の関係もない。宗教画に描かれているのは「太陽と月」をシンボル化したものである。キリストの磔刑に太陽と月を描くのはごく普通の事であり、宗教画に詳しい人間ならすぐに理解できる。

 古代エジプトの「飛行船」や「ヘリコプター」は壁に刻まれた王の名前が二重に重なったことでたまたまそう見えただけだし、パレンケに至ってはロケットではなく十字架を描いていると見るのが一般的である。


 1697年にドイツの教会が発行したとされる号外的な物には、空に奇怪な物体が浮かんでいる絵が描かれている。文章を読むと、空にまぶしい光を多くの人が目撃したとのことで、何かが起きたらしいのは間違いない。しかし当時の人たちの宗教観でその様子を絵にすると、聖書の内容に影響を受けたようなものになる。中世の人たちにとっては神の世界が真実で自分たちの生きている世の中は幻、みたいな感覚だったので、現代の我々とは見えているものが違っていたはずである。

 しかし現代人だって偉そうなことは言えない。例えば夜空にまぶしい光が飛んでいるのが見えたら、多分みな「UFOだ!」と言うはずである。同じものを見ても、中世の人たちが宗教的に解釈したように、現代人はそれをUFOだと言うだけの違いに過ぎない。


 フランス国立宇宙研究センターには、UFOを専門に調査する組織「GEIPAN」(ジェイパン)がある。1977年設立。ジェイパンでは「UFO 未確認飛行物体」という言葉は使わず、「PAN 航空宇宙における説明できない現象」と呼ぶ。何故ならUFOというのは、未知の何かを「物体」と決めつけているからで、その目撃された何かは物体ではない何らかの現象の可能性もあるからである。

 ジェイパンには年間200件もの報告が寄せられるが、その大半は説明が付くそうである。ただし9パーセントは原因不明だとのこと。


 UFO関連の事件で一番恐ろしいのは、エイリアンに誘拐される「アブダクション」である。エイリアンの船に連れていかれて実験をされたり、果ては子供を作らされたりする。エイリアンは種族としての力が弱っているので他の生物の力を取り込みたい、という事になっている。

 このエイリアン・アブダクションにそっくりな話が1910年のアイルランドで記録されている。夜、まぶしい光に包まれた人型の物に遭遇したという目撃談が有るのである。ただしその相手は「妖精」である……、アイルランドなどケルト圏には妖精伝承が伝わっている。ただし妖精とは羽の生えた可愛い存在ばかりではなく、恐ろしい怪物ゴブリン・グレムリントロールなども妖精である。

 妖精たちは種族の力が弱まっているため、人間を誘拐して自分たちの力を取り戻そうとしているという……、どう考えてもエイリアンの話とそっくりである。

 いわゆる「エイリアンに体を麻痺させられたあと誘拐された」というのは「睡眠麻痺」という「頭は目覚めているのに体が起きていない」状態が原因だと推測される。この状態の際は幻覚を見やすいが、当人にとっては真実か幻覚か区別できないのである。中世ではそういった状態に陥った時に幻覚を見ると「悪魔インキュバス・サッキュバス」のせいにされた。それが現代では「宇宙人の仕業」に変化した、と考えるのが自然だろう。

 人間は見たいものを見る動物である。UFOの事を考えていれば宇宙人に誘拐される幻覚を見てしまうのである。



●2. 謎と恐怖の映像

 2014年モスクワ 魔の幽霊自動車

 モスクワで交差点で追突事故を起こした車のドライブレコーダーに奇怪な映像が記録されていた。十字路を左折しようとしたところ、突然現れた車が目の前を左に横切っていき、それに驚いた一台前の車が急ブレーキをかけたため、その車に追突してしまったのである。原因となった車はいきなり交差点に現れたとしか見えない。幽霊自動車なのか!?

 真相:問題の車は、対向車で左折レーン(カメラから見て右に曲がる)にいた車が強引に直進してきた。ひとつ前の車の陰になっていたのでこちらに進んできているのが直前まで見えなかった。



●3.介良事件のUFO

 最近UFO研究家が南部鉄器の灰皿を入手したが、これが40年前のUFO事件の重大な手掛かりではと推測されている。その事件は1972年に高知県介良(けら)で男子中学生たちが小型のUFOを捕獲したものの、やがて逃げられてしまった、という通称「介良事件」である。

 問題の灰皿は、ひっくり返してみると、形もサイズも介良事件のUFOとそっくりなのである。もちろんこれをもって事件の真相が解ったという事にはならないが、こういう地道な研究によりいつか真実が明らかになるかもしれない。



●4.こっくりさん

 占いの一種「こっくりさん」。別名で「エンジェルさん」「キューピッドさん」、最近では「チャーリーゲーム」という名前で流行しているが、いずれにせよほぼ同じものである。

 こっくりさんの起源は明治時代にさかのぼる。竹の棒で台を作り、その上にお櫃の蓋を置いて、その上に手を乗せ、その傾き具合で占う、という遊びで、当時大流行した。学者井上円了は、こっくりさんは別に不思議な事ではなく、「予期意向」(考えていないつもりでも心の底で答えを考えてしまう)と「不覚筋動」(動かしていないつもりでも実は動いている)の組み合わせだと看破した。

 1970年代、オカルト漫画「うしろの百太郎」の影響で、学生の間にこっくりさんが大流行。しかしこっくりさんをした学生たちが異常な行動を起こす事件が相次いだ。

 当時の医師たちは、これを集団ヒステリー、今でいう「集団感応現象」だと結論づけている。集団感応現象とは、共通の絆や親密な関係を持つ人間の間で、一人の人間に起きた症状が他の人間に伝わっていく現象の事。仲の良い生徒たちの一人がおかしくなると、親しい人間の間にどんどん伝わっていくような現象がまさにそれ。また直接こっくりさんに参加していなくても、周囲で見ていただけの人間にも緊張感が伝わり、異常が起きることもある。

 そもそもこっくりさんは、コインに意識を集中して霊を呼び出そうとする、という行為がもうシャーマニズムのシャーマンと同じことをやっている。素人がほいほいやるべきことではない。


感想

 最初のUFOネタはパレンケとかピラミッドの謎のヘリコプター話とか、過去に使ったネタの再利用みたいな部分が多く、ちょっとイマイチ。でもまあ「イーグルリバー事件」という宇宙人からパンケーキをもらう話は面白かったです。んなわけあるかい!とツッコミどころ満載(笑)

 介良事件というドマイナー話に、今頃(2017年)になって新発見とか、もう何とも言えない感覚に襲われますね……、そろそろ関係者(元中学生)が真実を騙ってくれたりはしないだろうか……

 こっくりさんは昭和のオカルトブームをリアルタイムで体験した世代にとっては、めっちゃ身近なネタで興味津々でした。そして、いつもの如く学術的な分析を持って「集団ヒステリー/集団感応現象」とばっさり結論づけています。しかしそういう番組の姿勢が大好きです。
 
 

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番組概要

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/
UFO、ネッシー、雪男、予言&占い、心霊現象、超古代文明、妖怪、吸血鬼、魔女…。闇の魅力がもつ妖しげな幻に対して、「今、何がどこまでわかっているのか?」を徹底検証!そこから浮かぶのは、自然の神秘、私たちの脳や心の不思議なメカニズム、社会のからくり、昔の人の驚くべき技術と想像力…。ダークサイドの向こうの“本物の不思議”をワクワクしながら楽しんでいただく、NHKならではの超常現象ガチンコ検証番組!


出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など

 
 
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