【SF小説】感想「階級闘技」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 603巻)(2019年10月17日発売)

階級闘技 (宇宙英雄ローダン・シリーズ603)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122520
階級闘技 (宇宙英雄ローダン・シリーズ603) (日本語) 文庫 2019/10/17
トーマス・ツィーグラー (著), クラーク・ダールトン (著), 天沼 春樹 (翻訳)
文庫: 284ページ
出版社: 早川書房 (2019/10/17)
発売日: 2019/10/17

【※以下ネタバレ】
 

アトランたちはトリイクル9が存在していた"深淵"の入口に向かう。混沌の勢力がそこに侵入しているかもしれないというのだが!?


コスモクラートの基地に連れていかれたアトランとジェン・サリクは、そこで深淵税関吏と名乗るドルル・ドルレンソトに出会った。ドルレンソトによると、深淵とは異宇宙どうしを隔てるn次元性の境界層のことらしい。そこではコスモクラートの補助種族"時空エンジニア"がトリイクル9の代用品をつくろうとしていたのだが、あるときから連絡がとだえたという。その原因を探るため、ふたりは偵察に向かうことになるが……

 

あらすじ

◇1205話 深淵の偵察員(トーマス・ツィーグラー)(訳者:天沼 春樹)

 コル銀河。アトランとジェン・サリクは、コスモクラートの基地「コルトランス」で深淵へ降りるための準備を行った。深淵とは異宇宙同士の間に存在する層であり、そこには宇宙のモラルコードが存在している。太古、モラルコードの一部・トリイクル9が姿を消した後、コスモクラートは「時空エンジニア」という種族にモラルコードのコピーの製造を命じ、時空エンジニアは深淵に「深淵の地」という世界を作り、他の種族と共にそこに移住した。しかし時が経ち、深淵の地との連絡は途絶え、送り込んだ偵察員は誰も戻らなかった。

 アトランとサリクは深淵の地に到着するが、大都市「スタルセン」は荒廃しており、さらに二人は何者かの襲撃を受け、住民「チュルチ」の助けで逃走する。アトランたちは、スタルセンは特権階級「ゲリオクラート」に支配される階級社会であり、またゲリオクラートは「友愛団」「鋼の支配者」という勢力と三つ巴の戦いをしていることを知る。アトランは味方を求めて旅立つが、チュルチと共に友愛団に捕まってしまう。(時期:NGZ427年10月3日とその前後)

※初出キーワード=深淵の地、深淵監視者(コア・シン)、深淵リフト、深淵穴、深淵学校、ゲリオクラート、友愛団、鋼の支配者、鋼の兵士、光の地平、深淵定数、イルティピット種族、生命のドーム、都市搬送システム、市民防御システム、スタルセン供給機



◇1206話 階級闘技(クラーク・ダールトン)(訳者:天沼 春樹)

 ジェン・サリクはゲリオクラートの一派の追跡を受け、精神的な決闘「階級闘技」を挑まれるが勝利する。またサリクは「鋼の支配者」とは、行方不明のテングリ・レトス=テラクドシャンらしいことを知る。やがてサリクは都市の地下「盲目の隠者たちの洞窟」で、数千年前に深淵の地に来たコスモクラートの偵察員から、ゲリオクラートの最長老と友愛団の支配者は、いずれも変節した時空エンジニアだと知らされるが、偵察員は死んでしまった。(時期:不明。NGZ427年10月頃)

※初出キーワード=メイカテンダー種族、階級闘技、盲目の隠者たち


あとがきにかえて

 猫好きで、過去にも猫の小説を書いていたが、新刊が書きあがった、という話。


感想

 前半エピソード … 「深淵の地」での冒険談がスタート。しかし、これ、ローダン・シリーズという名目の「ダークファンタジー」でしかない……、舞台が今までの作品世界と全く切り離されているし、思考するだけで物を生み出せる装置や、その装置を使える特権階級と使用できない下層民、など、魔法が存在する異世界の話にしか思えない……、この先もこの展開が続くかと思うと、読み進める気力が減退しました。


 後半エピソード … 深淵の地の冒険談。サリク視点のエピソード。タイトルになっている決闘「階級闘技」も精神力が強い方が勝つ、という、また「魔法能力の優劣」を競っているとしか思えないファンタジー世界観。全く入り込めません。

 ところでP194に、過去翻訳されたローダン外伝のエピソード「モックの惑星」の事が書いてあったのはウケました。
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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