【SFアニメ】TVアニメ「ゴジラS.P」が予想以上に面白くてワクワク【マルチサイトストーリー】

CGWORLD (シージーワールド) 2021年 06月号 vol.274 (特集:TVアニメ『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』)

完全新作TVアニメシリーズ「ゴジラ シンギュラポイント Godzilla Singular Point」公式サイト
https://godzilla-sp.jp/

godzilla-sp.jp

日本が生んだ世界に誇るキャラクター、怪獣“ゴジラ”。
これまでに映画シリーズが1954年の第1作『ゴジラ』から2016年の第29作『シン・ゴジラ』まで、
ハリウッド版映画3作品が製作・公開され、日本国内のみならず世界各国でも大きな人気を集めている。
その“ゴジラ”の新たなプロジェクトとして、完全新作TVアニメシリーズ
ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』が始動!
これまでの作品とはまったく違う、まったく新しいオリジナルストーリーが、
全13話のTVアニメとして展開。人類に訪れる未曽有の脅威に、女性研究者の“カミノメイ”と、
男性技術者の“アリカワユン”という2人の若き天才が、周囲の人間たちと共に挑んでいく姿が
壮大なスケールで描かれる。

 
 今年の4月からアニメ「ゴジラS.P(シンギュラポイント)」という番組が放送されておりまして、正直一ミリグラムも期待していなかったのですが、見てみると、これがめったやたらに面白いヽ(´▽`)ノ 春アニメでは最高のお気に入りです。


 私は世の中のみんなが大好きな「シン・ゴジラ」について「一体これの何が面白いのか!」という辛辣な評価しかしていないし、2014年の「ギャレス・エドワーズゴジラ」も「画面が綺麗なだけでストーリーはアレ」とかしか思ってないし、という具合なので、もう「作り直した新しいゴジラ」というものには、眉に唾を付けるというか、最初から信用しない体質になっていたのですが……

 1話目は遠巻きにして様子見で、という感じで接していたものの、2話目以降はグイグイ引き込まれる感じで、すんごい楽しく見ています。

●こんなお話

グルマンディーズ バンダイ ゴジラ S.P<シンギュラポイント> ICカードケース Bタイプ GZL-14B ホワイト

ストーリー
https://godzilla-sp.jp/story/

2030年、千葉県逃尾市。
“何でも屋”な町工場「オオタキファクトリー」の有川ユンは、
誰も住んでいないはずの洋館に気配がするということで調査へ。
空想生物を研究する大学院生の神野銘は、
旧嗣野地区管理局“ミサキオク”で受信された謎の信号の調査へ。
まったく違う調査で、まったく違う場所を訪れた見知らぬ同士の2人は、
それぞれの場所で同じ歌を耳にする。
その歌は2人を繋げ、世界中を巻き込む想像を絶する戦いへと導いていく。
孤高の研究者が残した謎、各国に出現する怪獣たち、紅く染められる世界。
果たして2人は、人類に訪れる抗えない未来<ゴジラ>を覆せるのか―。

 
 近未来2030年が舞台。主人公は二人。一人目・有川(ありかわ)ユンは、プログラミングを始め様々な分野に通じている天才キャラですが、何故か零細町工場オオタキファクトリーに勤めていて、便利屋のような仕事をしています。

 もう一人・神野銘(かみの・めい)は大学院生で、「存在しない生物」を研究するという理解しがたい事をやっています。
 
 ある日、千葉に突然翼竜と思しき怪生物が飛来しますが、オオタキファクトリーの所長・大滝は、こういう事態も有ろうかと作っていた人型巨大ロボジェットジャガーで怪物と取っ組み合いを演じ、怪物はその直後に(自滅のような形で)死亡します。

 その後、日本をはじめとして世界各地に翼竜ラドン」を皮切りに、様々な怪獣が出現することになり、ユンは大滝に付き合わされて怪獣退治に振り回されることに……

 一方銘は、自分の研究を論文としてネットで発表したところ、高名な科学者の目に止まり、彼女の元に招かれます。そして「アーキタイプ」という名前の、現実的にはあり得ない不可思議な人工物質に関わることになるのですが、どうもその物質は世界中に出現し始めた怪獣たちの体に付着しているようで……

 ということで、ユン側の怪獣退治話と、銘側の謎の物質についての謎解きミステリー的な展開が同時並行で進んでいきます。


●マルチサイトストーリー

ムービーモンスターシリーズ ジェット・ジャガー -ゴジラS.P-

 ユン側のストーリーは、怪獣に襲われて逃げ回ったり、巨大人型ロボが登場したり、と、「怪獣物」ではあるのですが、今まで特撮で見てきたような怪獣物とは雰囲気がまるで違う。

 怪生物がいきなり街中に現れたり、とか、漁船が海中を泳ぐ巨大生物に遭遇したり、とか、個々のシーンだけを取り出してみると今までに特撮映画とかで数限りなく有ったパターンではあるのですが、雰囲気というかノリというかが全く違います。特撮文化とはまるで違う文法で語られているので、「またか」とか「もう見飽きた」とかそういう感じがしない。クソダサデザインのジェットジャガーも、この雰囲気の中では、これはこれでありだな、と許せます。

 銘側の方は、あれよあれよといううちに舞台が海外に移って、現実的に存在する筈の無さそうな物質「アーキタイプ」についての話へと進んでいきます。一見怪獣パニック話とは何の関係も無い様に見えますが、世界中に出現し始めた怪物たちの体にこのアーキタイプが付着している。しかも銘の知らないところで、一握りの人間はこの怪獣とアーキタイプの関係についてかなり掴んでいるらしい……、という謎解き話になっていきます。こっちはこっちでこれまた面白い。


 さらに楽しいのはユンと銘の関係で、劇中で二人は直接顔を合わせるシーンは一度もないのですが、(二人は気が付いていないものの)両者には共通の知り合いがいて間接的につながっている上、互いの素性を知らないままチャットで会話するシーンが有ったりします。

 この「主人公が男女の二人」「互いに無関係なストーリーが並行して進む」「要所でコンピュータ上で互いに協力したりする」というストーリー、名作アドベンチャーゲームEVE Burst error」を思い出してニヤッとさせられます。そして、同様に面白いのだからいうこと無し。

●ということで

 全13話構成で、既に半分放送は終わっているのですが、今のところめっちゃくちゃ面白い。「怪獣が大暴れしてあれこれするアニメ」というより「SFアニメ」要素の方が濃い目に出ているので、「怪獣物は別に興味はない」という層にも刺さる気がします。少なくとも、私はSF物として楽しんでます。

 あと半分でどういう事をやって、どういうところに着地してくれるのか楽しみで仕方ないですよ。
 
 
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