ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第45話 円盤が来た
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(45)「円盤が来た」
[BS4K] 2022年02月06日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
天体観測が生きがいのフクシンは、大円盤群を発見し地球防衛軍に通報するが、ペロリンガ星人のカモフラージュにより誤報扱いをされる。そしてその青年に何者かが近づく。
下町の工場街に住む工員フクシンは天体観測だけが生きがいの気の弱い青年。ある夜、彼は夜空に大挙して押し寄せる大円盤群を発見し、地球防衛軍に通報するが、誤報扱いをされる。実は密かに地球にやって来たぺロリンガ星人が、不透視バリヤーという特殊なシステムで母星からの大円盤群を星団に偽装していたのだ!それを見抜いていたフクシンにもペロリンガ星人の魔の手が迫ろうとしていた…
登場 … サイケ宇宙人 ペロリンガ星人
世田谷区に住むフクシン青年は夜ごと天体観測にいそしむアマチュア天文家。しかし夜更かししすぎて寝不足で昼間ついうとうとしてしまい、勤務先の工場の偉い人からはお小言を言われる有様だった。。
そんなある夜、フクシンが望遠鏡を見ると円盤の大群が目に入った。フクシンは慌ててウルトラ警備隊に連絡すると、同じ頃同様の連絡が何件もウルトラ警備隊に通報されていた。しかし天文台などのプロの調査では異常は見当たらず、結局アマチュアの見間違えととして処理される。
次の夜。フクシンが夜空を観測すると、また円盤の大群を見つけてしまう。今度は証拠として写真を撮影して提出するものの、写っているのは星だけだったため、キリヤマは今後は同様の通報は広報班が処理するように指示する。
フクシンは二度も見間違えをしたことで自己嫌悪に陥ってしまい、小学生の少年に慰められる。フクシンが少年の家を訪問すると、その家は天体望遠鏡を扱う店だった。フクシンは何の気なしに望遠鏡をのぞくと、また円盤の大群が目に入り、大慌てで少年を呼ぶが、少年は円盤はペガッサ星雲第66番ペロリンガ星が侵略のために送り込んたものだとこともなげに言う。
少年、実は宇宙人ペロリンガ星人は、円盤を星にカモフラージュしており、常識にとらわれないアマチュアでなければ正体を見抜かれない様なレベルだった。ペロリンガ星人は地球の「オオカミ少年」の童話と同じように、もう正しい事を通報しても誰も信じてくれないと言い、フクシンにわざわざ地球防衛軍に連絡させるが、その言葉通り、フクシンの通報は広報班に門前払いされてしまう。
ペロリンガ星人はフクシンに対し、地球の諸々にイヤになっているフクシンを星に連れて行ってやると持ち掛け、既に同じように他の人たちを連れて行ったと説明する。
同じころ、アンヌはフクシンが持ち込んだ写真を分析し、短時間の露光で星が映るはずはないので、ここに映っているのは星以外の円盤だと推測する。さらに広報班にフクシンがかけた電話には、フクシン以外の奇妙な声(=ペロリンガ星人)が録音されていた。この状況から、キリヤマはウルトラ警備隊の出動を命じ、ウルトラセブンはペロリンガ星人の円盤群を撃破した。
事件の後、フクシンはダンやアンヌからお褒めの言葉をもらい、近所の人たちからも英雄扱いされる。しかし翌日フクシンにはまた代わり映えの無い日常が始まり、一人自転車で工場へ働きに向かうのだった。
感想
評価は○(実相寺風味満載の面白エピソード)
尖った話が連発された40話台を彩るエピソードの一つ。監督は実相寺昭雄氏で、脚本も表記は「川崎高・上原正三」の連名となっていますが、実質は川崎高こと実相寺氏が単独で書いたそうで、つまりお話も演出も実相寺風味が満載のエピソードとなっています。いつものSFヒーロー話ではないものの、これはこれで面白い回でした。
冒頭いきなりさえない青年の日常生活(近所のうるさいおじさん込み)からスタートするし、浦野光氏のナレーションはとぼけた感じだし、一応ウルトラ警備隊サイドの描写は真面目にやっているものの、フクシン青年たちの描写の方が多いので、全然いつものウルトラセブンではありません。昭和の日常系ドラマを見ているかの如し。
そして、クラシック調の音楽、やたら多い下町描写、昭和の一般家屋に当たり前のように現れる宇宙人、などなど、実相寺作品お馴染みの要素がこれでもかと詰め込まれており、監督の個性が出まくりでした。
そういったフクシン青年サイドのお話がやたら長いので、セブンと宇宙人の戦いはどう処理するのかと思ったら、セブンが手をばたばたせて戦っている様な姿を早回しで見せ、その合間に時々爆発シーンが挿入されるだけ、という物凄く抽象化した戦闘シーンを一分ほど流しただけで終わってしまいました(笑) ダンがデュワッとウルトラアイを装着するシーンすらない(笑) 当時見ていた子供たちは呆気にとられたんじゃないですかね、これ。と言うか、こんな話を円谷とかTBSの偉い人はよくもまあ許可したもんですよねぇ(呆れ)
ちなみに、この回は、何故かゲストが(現在の目で見ると)やたら豪華。夜中まで働いている騒音おじさんゲンさんを演じるのは渡辺文雄氏(胃腸薬ソルマックのCMでお馴染み(?))だし、ゲンさんの友達のそば屋の旦那・シゲさんはミッキー安川氏だし。
今回の侵略担当宇宙人はペロリンガ星人。名前からしてインパクトがありますが、さらに通り名が「サイケ宇宙人」というのがなんだかすごい。サイケ=サイケデリックのことですが、現在からすると完全に死語で、なんというか流行に乗ったネーミングを安易にしてはいけない、と痛感させられますね……
最後も、「宇宙人の侵略を阻止してめでたしめでたし」ではなく、なんとなく「星の世界に連れて行ってもらえなかったフクシン君が可哀そう」という微妙な雰囲気で終わってしまうので、素直に喜べない結末だし……、しかしまあ、こういった要素故に、初放送から50年以上経過しても面白く視聴できるのかもしれません。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
Vol.2
Vol.3
Vol.4
Vol.5
Vol.6
Vol.7
Vol.8
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Vol.11
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