【SF小説】感想「イジャルコルの栄光のために」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 666巻)(2022年6月8日発売)

イジャルコルの栄光のために (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-666)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123683
イジャルコルの栄光のために (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-666) 文庫 2022/6/8
H・G・フランシス (著), ペーター・グリーゼ (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/6/8)
発売日:2022/6/8
文庫:304ページ

【※以下ネタバレ】
 

生命のゲームの開催地ソムを目指し紋章の門を潜った15万人のオファルの合唱団は、ここがパイリアと知り門マスターの元へ向かった


紋章の門から出た15万名のオファルの合唱団は愕然とした。そこが生命ゲームの開催地、惑星ソムの王の門ではなく、パイリアのテラナー門だったからだ。合唱団の一員、トオモアン・タアアンとケエエン・チャアエルは、再度ソムに転送してもらうため、仲間とともに門マスターのところへと向かう。だが、紋章の門ではハトゥアタノのリーダーであるライニシュの愛人アイスクシクサが、みずからの野望を実現すべく暗躍していた!

 

あらすじ

◇1331話 イジャルコルの栄光のために(H・G・フランシス)(訳者:渡辺 広佐)

 ライニシュの策略により、惑星ソムの生命ゲームに参加する筈のオファラー130万人のうち30万人が、惑星パイリアとロムボクにそれぞれ15万人ずつ到着していた。しかし、それはネットウォーカーの進める計画に好都合だったことから、サラアム・シインはオファラーたちに各惑星にとどまって合唱に参加するように指示する。同じころ、イジャルコルが惑星エトゥスタルから帰還し、超越知性体エスタルトゥが行方不明であることを公表した。(時期:不明:NGZ446年6月末頃?)

※初出キーワード=無し



◇1332話 永劫の洞窟(ペーター・グリーゼ)(訳者:渡辺 広佐)

 惑星ソムの衛星イジャルコルの「永劫の洞窟」には、パイリア人の隠者と、未来を見通せる不思議な植物ケラ=フア=ザタラが住んでいた。ケラはその力で全てを見通しており、その言葉通りに、惑星ソムで生命ゲームが開始された。しかしゲームの始めに、サラアム・シインが作った特別な歌をオファラーたちが合唱したことで、惑星ソムの紋章の門は破壊され、連鎖的にシオム=ソム銀河の全ての門が崩壊してしまった。大混乱の中でダントンとテケナーは脱出し、付人プテルスは永遠の戦士ではなく自分たちが真の支配者であることを明かした。(時期:不明:NGZ446年6月末頃?)

※初出キーワード=ケラ=フア=ザタラ


あとがきにかえて

 4月の句会に久々に対面で参加した話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:ZU EHREN IJARKOR(意訳:イジャルコルに敬意を表して)

 生命ゲームの前に惑星パイリアにオファラーが15万人も出現してしまい大混乱、という話。オファラーたちのトイレの問題に触れておきながら、その後どう解決したか書いていないので気になる……

 この本筋とは全く関係ない展開として、ライニシュの愛人アイスクシクサが紋章の門「テラナー門」を強奪しようとテロを敢行し、惑星パイリアが破滅直前まで行く、というストーリーが描かれました。この展開、実のところカットしても問題のない、有っても無くても良い話だったのですが、テラナー門がだんだん異常になっていって、一時間後には門が爆発!というサスペンス展開が実にスリリングで時間を忘れるくらいハラハラしてしまいました。

 最終盤の、イジャルコルの甲冑が様子がおかしくて無様な姿をさらすシーンですが……、エスタルトゥがいなくてそんなにショックだった、ということ?


 このエピソード、誤字が二か所もあります。早川の社内の体制は大丈夫なんでしょうか?
 ↓
 P80「きみたちがここいること」→「きみたちがここにいること」※「に」抜け
 P146「悠然と鎮座しいる」→「悠然と鎮座している」※「て」抜け



・後半エピソード 原タイトル:DIE HOHLEN DER EWIGKEIT(意訳:永劫の洞窟)

 前サイクルからちょいちょい登場している謎の植物たちの親ケラ=フア=ザタラが登場。ロワとかライニシュとかイジャルコルとかの視点ではなく、ケラの未來視による語りで物語が進められるという一風変わった話になっています。ネットウォーカーは五万年かけて何の成果もあげていなかったのに、突然すさまじい大勝利で、急展開過ぎてちょっとついていけない……
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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