【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリーE+」2022年版「読むと危険? 奇書「ドグラ・マグラ」と夢野久作の迷宮世界」(2022年7月5日(火)放送)

ドグラ・マグラ

ダークサイドミステリーE+ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/ZG5NQK3K3P/
放送 NHK Eテレ。毎週火曜夜10時45分~11時15分放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

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驚きと感動の「闇」が、地上波に登場!


BSプレミアムでシーズン4が4月14日(木)スタートする話題の番組「ダークサイドミステリー」。その名作の数々が、コンパクト30分版に見やすくなってEテレに登場!


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!


ナビゲーター・栗山千明、語り・中田譲治、テーマ音楽・志方あきこのダークなトライアングルで迫ります。

 

読むと危険? 奇書「ドグラ・マグラ」と夢野久作の迷宮世界 (2022年7月5日(火)放送)

 

内容

ダークサイドミステリーE+▽読むと危険?“ドグラ・マグラ”と夢野久作の迷宮世界
[Eテレ] 2022年07月05日 午後10:45 ~ 午後11:15 (30分)


読むとおかしくなる?ウワサの作家・夢野久作。幻想!猟奇!美少女!虚構と現実!読んだらハマる!らしいけどけどちょっと怖い?あなたの知らないあなたがそこにいるかも?


「少女地獄」「瓶詰地獄」「猟奇歌」…。文学界の妖しき異能者、夢野久作。なぜ今若者たちに愛されるのか?虚構と現実、美と残酷、美少女、欲望が交錯し、何度も読み返したくなる不思議な魅力を徹底検証!戦慄の都市伝説「読むとおかしくなる」ウワサの超問題作「ドグラ・マグラ」。夢と狂気の堂々めぐり、読破困難、読んだらハマる、気にはなるけど読むのが怖い。そんなあなたのために、夢野久作のめくるめく迷宮にご案内します。


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 今回は「2021年8月5日放送回」のダイジェスト版。
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【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「読むと危険? 奇書「ドグラ・マグラ」と夢野久作の迷宮世界」(2021年8月5日(木)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2021/09/20/155508

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 今回のテーマは「作家・夢野久作」。



夢野久作ワールド

 90年前の作家にも関わらず、現代でも「夢Q」などと呼ばれて人気の作家・夢野久作

 夢野久作が活躍した大正から昭和初期は、海外から探偵小説という新しいジャンルの小説が入ってきて人気を博していた。久作は探偵小説を独自に解釈し、名探偵も名犯人も出てこない、斬新な小説を書いていった。



・作品「瓶詰の地獄」(ネタバレ)

 海岸に樹脂で口に封をした三本のビール瓶が流れ付き、その中にはそれぞれノート切れ端にしたためられた手紙が入っていた。

 第一の瓶の手紙 … 無人島に二人で暮らす兄妹の前に、ついに両親の乗った船が助けに来る。しかし兄妹は罪の意識から海に飛び込んでしまう。

 第二の瓶の手紙 … 幼い兄妹は乗っていた船が荒天で遭難し、二人だけが島に流れ着く。その島は年中温暖で食料も豊富にあり、楽園のようなところだった。兄の「私」(11歳)と妹・アヤ子(7歳)はこの島での暮らしを始めるが、やがて兄は、美しく成長していく妹への性的な欲求を抑えきれなくなって苦悩する。

 第三の瓶の手紙 … 幼い兄弟、兄・太郎と妹・アヤ子が無人島から両親に助けを求める内容。

 三つの瓶は同時に流れ着いたので、兄妹の両親はこの手紙を読んでいるはずがない。となると第一の瓶の手紙に書かれているような、両親が助けに来る展開はあり得ない。一体何が本当なのか、それとも全ては狂気の産物なのか、真相は不明のまま終わる。



●生い立ち

 夢野久作、本名・杉山直樹は、1989年(明治22年)に九州・福岡生まれ。大正3年・25歳の時、上京して住み込みで町工場で働くが、ある日川のほとりで対岸にいた男がハンマーで殴られてそのまま川に放り込まれる、という事件を目撃する。しかしその一件は新聞にも載らず、人間社会の闇を知ることとなった。やがて故郷・福岡に戻り、37歳で作家デビュー。

 久作は、人間に潜む二面性、幻想的な美しさ、醜悪な残酷さ、を描いた。


・作品「空(くう)を飛ぶパラソル」(昭和4年

 「私」が歩いていると、青いパラソルをさしていた女性が列車にはねられて死んでしまう。パラソルは美しく空を舞っていき、後には醜い轢死体が残された……


・作品「何でも無い」

 以前看護師として働いていた姫草ユリ子が自殺した。美人で明るく素直なユリ子がなぜ自殺したのか。しかしユリ子は実は虚言癖があり、名前も出身も何もかもが全て嘘だった……



●自分探し

・作品「押絵の奇蹟」(ネタバレ)

 昭和4年・40歳の時の作品。美人ピアニスト・井ノ口トシ子が病で倒れ、死が近いトシ子が歌舞伎役者・中村半次郎に手紙を書く。トシ子の生い立ちから始まり、トシ子と半次郎は、トシ子の母と半次郎の父・中村半太夫との不義の関係の末に生まれた双子では無いか、疑念にさいなまれていく……

 久作は一歳の時両親の離婚で母ホトリと引き離されており、物語の舞台を自分の生地と同じ福岡にすることで、自分探しをしたのではないか。



ドグラ・マグラ

 「ドグラ・マグラ」は昭和10年・46歳の時の作品。日本探偵小説三大奇書ともいわれる夢野久作の代表作。原稿用紙1200枚の大作。

 主人公「私」は、見知らぬ部屋で目覚めるが、記憶を一切失っていた。やがて「私」は九州帝国大学精神病科の病院にいることが解る。「私」はこの病院である精神治療の実験を受けている際に記憶を失ってしまったのだった。

 「私」の記憶を取り戻すことが、ある殺人事件の解決に結びつくということで、「私」の記憶を取り戻す旅が始まる。やがて「私」は病院で、患者の一人が書いた「ドグラ・マグラ」という小説の原稿を見つけ、物語は小説の中で別の小説が展開される二重構造となる。

 人の精神・記憶は脳ではなく全身の細胞の中にあり、それが先祖から子孫に引き継がれるという奇説「心理遺伝」。「私」には罪を犯した先祖の記憶が引き継がれているのか? 主人公の出生の秘密は? 謎が謎を呼ぶ物語が展開される。


 昭和11年・47歳で夢野久作は死去した。


感想

 有名な「ドグラ・マグラ」を初めとする夢野久作作品大特集でした。ちなみに小説パートの朗読は浪川大輔氏でしたよ。
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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少女地獄
少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)