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ボードゲーム・ジャンクション (Role&Roll EXTRA) 大型本 2010/2/26
安田 均 (著), グループSNE (著)
出版社:新紀元社 (2010/2/26)
発売日:2010/2/26
大型本:176ページ
★★【以下ネタバレ】★★
内容(詳細)
ゲームカタログ。「2000年以前」と「2001年以降を二年おき」という感じで6つの期間に区切り、各期間毎にその時期のゲームデザインのトレンドや話題となった作品、等の時代背景を紹介したあと、さらにその期間の「ベスト10 10作品」「次点/別格 1作品」「準ベスト 8作品」を選出。各ゲームあたり四分の一ページのスペースで内容紹介。、
主な作品としては、
2000年以前 アクワイヤ、カタン、マジック:ザ・ギャザリング、他
2001~2002年 プエルトリコ、カルカソンヌ、キル・ドクター・ラッキー、他
2003~2004年 チケット・トゥ・ライド、ルーンバウンド、サンファン、人狼、他
2005~2006年 アーカム・ホラー、ディセント、他
2007~2008年 アグリコラ、銀河帝国レース(注:レース・フォー・ザ・ギャラクシーのこと)、他
2009年 ドミニオン、パンデミック、他
●ボードゲーム注目作
2004年以降に発売されたボードゲームの中で、特に注目すべき作品を各作品あたり1ページで紹介。
対象は、アーカム・ホラー、ルーンバウンド、ディセント、チケット・トゥ・ライド、アグリコラ、時代を超えて(※スルー・ジ・エイジスのこと)、ドミニオン、等。
●ボードゲーム・リプレイ
グループSNE関係者によるリプレイ15タイトル分。過去に「ロール&ロール」誌に掲載された内容の再録。
●ウニ頭でもできるもん!
グループSNEメンバーによる「簡単で軽めのゲーム」のゲームレビュー。各タイトル1ページづつで15タイトル。過去に「ロール&ロール」誌に掲載された内容の再録。
●ボードゲーム大好き座談会
感想
評価は○(面白い)
グループSNEが2010年に発売したボードゲームの入門書。「ゼロ年代のボードゲームの事が良く分からないので、その頃のゲームの情報が載っている本が欲しい」という理由で購入したのですが、期待通りの内容でなかなかに楽しめました。
本書が発売された2010年2月頃というのは、日本のボードゲームの状況は現在(2023年)とは全く違っていて、一般の人たちはボードゲームの事を全然知らず、ごく少数の愛好家たちだけがプレイしている、といった感じでした。
本書は、グループSNEがそういう状況を変えようと総力を挙げて投入した一冊、という印象ですね。というか「はじめに」で安田均先生がズバリ「米英ではボードゲームが流行っているけど、アジア圏ではまだまだ。面白いと思う作品が有ったら試してほしい」(要約)と書いてます。いやー、10年ひと昔と言いますが、日本にもそういう時代が有ったんですね。
そして、意気込みを示すように、まず先頭で、20世紀中盤の古典作品から2009年時点の最新作品まで合計100作品以上を網羅して紹介し、さらに特に推している作品は「ボードゲーム注目作」「ウニ頭~」という別枠で再度紹介。
さらにさらに、それでもまだ足りないとばかり、リプレイを大量に掲載(全170ページの本にリプレイが60ページ! 三分の一以上!)してダメ押しという感じでホードゲームの魅力をアピールしまくっています。TRPG黎明期にも「TRPGの概念は理解できたが、何がどう面白いのか良く分からない」という人が多かったので、そういう人たちのためにリプレイという形式で面白さを伝えて愛好者を増やしていきましたが、それを改めてホードゲームでもやろうとしたいう事なのでしょうね。
(ちなみに、上記の様な構成なので、大ヒットゲーム「ドミニオン」などは、まず安田均先生が紹介し、次に「注目作」としても紹介し、とどめで「リプレイ」でも紹介し、と、物凄い推されっぷりになっています。いや確かにそれだけの価値はあるヒット作でしたけどね(笑))
ということで、本書はボードゲームを全く知らない人に対しての良く出来た「入門書」であると同時に、(それなりに)ホードゲームについて知識が有る人間が読んでも面白い内容に仕上がっていました。
ボードゲームというのは古びる速度が遅いので(本書に載っているマジック:ザ・ギャザリングもカタンもアグリコラもドミニオンも全て現役です)、この本も13年前のものにも関わらず十分に楽しむことが出来ました。これは良い買い物でしたな。
おまけ
本書のことを「入門書」と書いたのですが、さらに言うならターゲットは当時の中高生、もっというならロール&ロールを愛読している様な層、だったんだと思うんですよね。表紙がゲームの写真とかではなくアニメ/マンガ調のイラストなのは、そういう若人たちに警戒せずに気楽に手に取ってもらう為だったのでは……
と考えると、最初は「この絵、あんまり、というか全然、本の内容を反映してないよなぁ……」と違和感のあった表紙も、だんだん腑に落ちたというか得心できたというか……、まあ全然見当はずれかもしれませんけど。