【アナログゲーム】感想:ゲーム書籍「ゲームを斬る」(安田均/2006年)

ゲームを斬る! (Role&Roll Books)

https://www.amazon.co.jp/dp/4775304569
ゲームを斬る! (Role&Roll Books) 新書 2006/4/27
安田 均 (著)
出版社:新紀元社 (2006/4/27)
発売日:2006/4/27
新書:334ページ

★★【以下ネタバレ】★★
 
 

21世紀に入って、アナログゲームはどうなっているのか。その現状と展望は?アナログゲーム界の重鎮、安田均が21世紀に入ってからのボードゲームRPGTCGについて深く洞察する待望のエッセイ&評論集!本当におもしろいゲームとは何なのか。その答えはここにある。

 

内容

 安田均先生が2000年~2005年の期間に色々な媒体で発表した、海外のアナログゲーム関係のエッセイを一冊にまとめた書籍。


 出典は

アニメ雑誌「月刊AX」(ソニーマガジンズ)の連載「安田均のゲームバトルロイヤル」2000年6月号~2001年3月号掲載分。全10回。

 ボードゲーム関連の記事。


ソニーマガジンズのウェブページ掲載の連載「安田均のゲームバトルロイヤルII」2001年3月~2001年10月掲載分。全7回。
幻冬舎コミックスのウェブページ掲載の連載「安田均のゲームバトルロイヤルII」2001年11月~2003年1月掲載分。全10回。

 ボードゲーム関連の記事。



TRPG雑誌「RPGamer」(国際通信社)の連載「※名前不明 多分「ボードゲームの世界」」第1号(2003年春)~第11号(2005年秋)掲載分。全9回。

 TRPGプレイヤーにボードゲームを紹介する的な内容の記事。



TRPG雑誌「ロール&ロール」(新紀元社)の連載「※名前不明 多分「ゲームを斬る!」」第1号(2003年6月)~第13号(2005年8月)掲載分。全13回。

 TRPGや、TRPG的要素を持つボードゲームの記事。


感想

 評価は○(面白い)

 安田均先生のアナログゲーム関連のエッセイ集。結構な読みごたえで堪能できました。


 読む前はロール&ロール誌の連載「ゲームを斬る!」の書籍化だと思い込んでいたのですが、実際はそれ以外の媒体に掲載されたエッセイも併せて収録していました。そのままなら散逸して二度とお目にかかれなくなっていた筈のエッセイ集が読めたというのは嬉しかったですね。しっかし、安田先生はアニメ雑誌でも連載していたのか……、どういう経緯でだろう? というか「AX」なんて雑誌は調べるまで存在も忘れてた(笑)


 書籍前半の「安田均のゲームバトルロイヤル」「同 II」はボードゲーム関連。古典のアクワイヤやスコットランドヤード、当時のド定番「カタン」、ドイツやアメリカの海外イベントに参加した時の記録、そして(当時の)最新作「プエルトリコ」「カルカソンヌ」「電力会社」といった作品、についての紹介となっており、一つ一つのボリュームが手ごろなのでサクッと読むことが出来ました。

 書籍後半はTRPG雑誌に連載された内容のためTRPG色が強くなり、「ルーンバウンド第二版日本語版」「(TRPGの)d20システム」「d20版火吹き山の魔法使い」「ウォーハンマーTRPG」等TRPG関係がメインで、そこに『TRPGプレイヤーも楽しめるだろうボードゲーム』の話題も混ざっている、という構成でした。


 全体的に、ボードゲームにしろTRPGにしろ、当時(ゼロ年代前半)の雰囲気というのが伝わって来て、結構面白かったですね。

 実のところ、この時期というのは一種の端境期で、「アグリコラ」とか「パンデミック」とか「ドミニオン」とかの作品が発売され大爆発が起きるのはさらに数年後の2008年頃。安田先生があとがきで書かれている通りドイツゲームがちょっと行き詰まり的な状態で、TCGTRPGも大きなヒットという物が無く新しいものが見えていなかった時期、ということで、小停滞状態だったような感じでした。多分アナログゲームの歴史書が書かれたら、この時期は「大きな発展が無かった」の一行で済まされそう(笑)

 そんな時期なので、今から振り返ると「この頃何があったっけ?」みたいな感じになってしまうので、この本で当時の感覚がつかめたのは大収穫でした。


 それにしても、とり上げられたゲームのうち、「プエルトリコ」「カルカソンヌ」「ルーンバウンド」など、今でも通じる作品も有れば、もうすっかり歴史の流れに押し流されて名前も忘れられている作品もあり、で、諸行無常というか何というかを感じずにはいられませんでした(笑)


 まあその辺りも含めて色々面白かった一冊でした。一度読んでおしまいではなく、何度でも読み返して色々再発見して、みたいな読み方をするタイプの本でしたね。


おまけ

 安田先生大絶賛の「ビトレイアル」(丘の上の裏切り者/アバロンヒル)はなんで日本語版でないんですかね……? マンション・オブ・マッドネスとかに近い感じなので十分需要有りそうなのに……
 
 

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