科学雑誌ニュートン最新号 | ニュートンプレス
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私は子供のころから数学が苦手で、もう高校の頃には微分積分とかいう言葉を聞くと気が遠くなるほどでしたが、そんな私でも「世界で一番美しい式」と呼ばれている、あの「オイラーの等式」を理解することが出来るまでになりました。この文を読んでいるあなたにだけ、こっそりとその方法をお伝えしたいと思います。
その方法とは!?
それは今月発売のニュートン2017年10月号を読むことです
深遠なる数の世界 第3回(終)
世界一美しいオイラーの等式
“人類の至宝”が,e,i,πを結びつけた
「オイラーの等式」は,多くの科学者や数学者が「世界一美しい」と賞賛する数式である。一方,“人類の至宝”と表現されるのが,オイラーの等式の元となる「オイラーの公式」である。オイラーがみちびいた二つの式の美しさとすばらしさを,くわしくみていこう。
小学生でも理解できる親切丁寧な内容
オイラーの等式は「eのπi乗+1=0」という式で、e,π、i、掛け算の基本1、足し算の基本0、が全て出てきて、なおかつシンプルにまとまっている、というので、数学好きの間では「う、美しい……」となる式なのだそうですが……、「eってなんだっけ?」というレベルの人間には何のことやら全くわかりません。
しかし、そこは初心者向けに丁寧な説明をすることで有名なニュートン、信じられないような初歩レベルからスタートして式の理解まで導いてくれます。
何せ、序盤は「πとは円周率、つまり円周を直径で割ったものの事で、3.14……、と無限に続く数です」と、このレベルから始めてくれるのですから。数学に強い人にとっては、はっきり言って笑い出すレベルかと思います。しかしですね、その後の説明が実に絶妙というか巧みなんですよ。
eとは何ぞや?
πとiはともかく「e」は正直何を現しているのか全くぴんと来ないものだったのですよ。だいたい自然対数とかlogとか言われてもチンプンカンプンですよね? しかしニュートンでは、「複利の計算に使うこれこれの式で、nの値をどんどん大きくしていくと近づく値。2.71……、のことです」と具体例を挙げてイメージしやすい形で教えてくれています。イカス。
三角関数? What?
またオイラーの等式は、それの元になった「オイラーの公式」→「eのix乗=コサインx+iサインX」という物がありますが、つまり「三角関数」というやつが出て来ます。サインコサインタンジェント、もう勘弁してくれぇ、と脳が理解を拒否し始めるころ合いですが、ここでもニュートンは簡単に「波を現す式ですよ」と優しく導いてくれます。おお、それならなんとなくわかる。
テーラー展開? マクローリン展開?
さて、続いてニュートンは
・ある数字の何乗(例:eのx乗)という書き方は、「テーラー展開」(特にその中の一種「マクローリン展開」)という書き方で、無限に続く分数の式みたいなもので書き表すことが出来る。また三角関数のコサインやサインも同様に展開できる。
と教えてくれます。納得できない人のために、eのx乗をテーラー展開した式に具体的な数字を入れてグラフにすると、eのx乗のグラフにどんどん近づいていく、と、見て解るように説明してくれます。なるほど、これなら腑に落ちる。
虚数乗って何よ?
eのx乗をテーラー展開した式で、「x」と書いてあるところを「i」に置き換えると、「eのi乗」つまり「虚数乗」という何だかわからないものも式にできます。おおう、「虚数乗ってもう訳が分からなさすぎるだろ!」と思っていたのですが、こういう風に順を踏んで説明してくれると、納得できますね。
そして式は結び付く
そうして「eのi乗」と「コサイン・サイン」をそれぞれテーラー展開した式を良く見比べてみると……、あれ、一緒じゃん? なんか色々整理したら「eのiπ乗=-1」になっちゃったぞ? もっと変形したら「eのiπ乗+1=0」じゃん。
こうして人類で最も美しい式にたどり着くことが出来ました。
真面目な解説
ここからは真面目な説明を。
1)指数関数「Y = eのx乗」、三角関数「cos x」「sin x」は、いずれも「テーラー展開(マクローリン展開)」という方法で、別の形で書き表すことが出来る。
2)「eのx乗」の「x」に「xi」と代入して展開する。
↓
この展開した形の中をよく見ると、(1で出てきた)「cos x」「sin x」を展開した形が含まれている。
↓
つまり 『eのxi乗』を展開した式 =『cos x』を展開した式 + i×『sin x』を展開した式
↓
つまり 「eのxi乗」=「cos x」+i×「sin x」←これがオイラーの公式
3)さらに、オイラーの公式の「x」に「π」を入れると
「eのπi乗」=「cos π」+i×「sin π」
そして「cos π」=-1、「sin π」=ゼロ、なので、
「eのπi乗」=-1+i×ゼロ
「eのπi乗」=-1
「eのπi乗」+1=0←これがオイラーの等式
となる。
説明のテクニックが凄い
ネットで「オイラーの等式」で検索してみると色々出てきますが、そんなことを説明しようとする人は最初から数学の知識があるので、「解らない人には何が解らないか、という点が解っていない」ため、大抵説明の最初の数行でギブアップさせられます。
その点ニュートンは、毎月毎回の記事で「専門知識のない人に、その分野を分かりやすくレクチャーする」という事を繰り返してきているので、「解らない人に理解させるテクニック」という物が凄い。以前に相対性理論大特集で恐ろしく基本的なところから始めて、キモとなるところまで説明する構成に感心したことがありましたが、今回の説明も凄かった。π(円周率)って何なの?レベルから始めて、マクローリン展開とかいう物をあっさり理解させ、虚数乗を理解させ、人類最高の式にまでたどり付かせるのですから。
さすがニュートン。なんか最近社内でゴタゴタがあったり、雑誌をリニューアルしたり、と色々気になることも多かったのですが、今回は雑誌の秘めたる底力を見せてもらいましたよ。
おまけ:天才数学者オイラー
私は数学は大の苦手ですが、「数学者の面白エピソード」とかそういうのを読むは大好きです。オイラーの等式を生み出したレオンハルト・オイラーの楽しいエピソードはこちらです。最後のエピソードには笑ったなぁ。↓
天才計算術師オイラー
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/4625/sample4.htm
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