【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリーE+」2022年版「魔女狩りの恐怖 なぜ人は、隣人を追いつめたのか?」(2022年6月7日(火)放送)

魔女狩り (「知の再発見」)

ダークサイドミステリーE+ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/ZG5NQK3K3P/
放送 NHK Eテレ。毎週火曜夜10時45分~11時15分放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

驚きと感動の「闇」が、地上波に登場!


BSプレミアムでシーズン4が4月14日(木)スタートする話題の番組「ダークサイドミステリー」。その名作の数々が、コンパクト30分版に見やすくなってEテレに登場!


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!


ナビゲーター・栗山千明、語り・中田譲治、テーマ音楽・志方あきこのダークなトライアングルで迫ります。

 

魔女狩りの恐怖 なぜ人は、隣人を追いつめたのか? (2022年6月7日(火)放送)

 

内容

ダークサイドミステリーE+「魔女狩りの恐怖 なぜ人は、隣人を追いつめたのか?」
[Eテレ] 2022年06月07日 午後10:45 ~ 午後11:15 (30分)


あなたや世の中が不幸なのは誰のせい?きっと近くに悪い魔女が隠れている?「魔女狩り」…それは昔だけのことではない。人間の心の奥にひそむ、知られざる闇の正体に迫る!


人類史に刻まれた闇の惨劇「魔女狩り」。かつて推定6万人もの無実の人が、災いをなす「魔女」として疑われ犠牲になった。惨劇はなぜ起きたのか?▼恐怖の「魔女裁判マニュアル」は女性ヘイトから?もともと魔女は嫌われてなかった!それを憎い敵にしたのは、たったひとりの男の妄想?▼愛する娘へ獄中からの手紙…苦痛に耐え暴露した、魔女狩り暴走の秘密とは?▼あなたは大丈夫?現代ハイテクで相次ぐ世界各地の魔女狩りとは?


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 今回は「2020年4月9日放送回」のダイジェスト版。
 ↓

【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『魔女狩りの恐怖 なぜ人は、隣人を追いつめたのか?』(2020年4月9日(木)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2020/05/19/234723

perry-r.hatenablog.com

 
 今回のテーマは「魔女狩り」。



魔女狩りとは

 16世紀から17世紀のヨーロッパで、ごく普通に暮らしていた人々が、突如「魔女」の疑いをかけられ、拷問を受けた末に処刑される、という狂的な迫害が行われた。これを魔女狩りという。魔女狩りによる犠牲者は6万人ともいわれる。


●魔女とは

 魔女とは、キリスト教の世界観においては、悪魔サタンの手先となった人間をさす。サバトという集会で悪魔と性的な交わりを持つことにより、魔女術という術を使えるようになり、天候不順による凶作、飢饉、伝染病などの災いをもたらすとされた。人々は世の中の災いは、人間を裏切った魔女たちの仕業であると考えた。


魔女狩りの流れ

 まず普通の生活を送っている女性が、誰かの告発でとらえられる。そして魔女裁判にかけられ、無実を主張しても、誰にでもあるほくろ・シミ・いぼなどを悪魔と契約した証拠「悪魔の爪痕」と見なされて、魔女と断定される。そして魔女と「自白」するまで残虐な拷問にかけられ、自白すれば「悔い改めた」と見なされて、最後に死刑にされる。


魔女狩りマニュアルの誕生

 魔女狩りの先駆者といえるのが、15世紀の異端審問官ハインリッヒ・クラーマーである。

 1485年、クラーマーはオーストリアインスブルックで街の女性たちを魔女として告発した。しかし弁護人からは「悪魔と性的な交わりを持った人間とか迷信のようなことを本気で言っているのか?」と反論され敗北してしまう。翌1486年、クラーマーは「魔女への鉄槌」という本を書いて出版する。この本は、魔女の見分け方から魔女裁判のやり方まで細かく記された「魔女裁判マニュアル」とでもいうべきもので、3万部も出版された。


魔女狩りの始まり

 それから100年後。社会不安に伴い魔女狩りが始まった。この時代は小氷期と呼ばれる寒冷な気候のため凶作が続いていた。それが「魔女の仕業」ということになったのである。

 魔女狩りは一般市民だけではなく、上流階級の人間ですら対象にされた。ドイツのバンベルクという町では1600年代前半に町のあらゆる階級に渡る900人が犠牲となった。町の支配者ヨーハン・ゲオルク2世は魔女司教と呼ばれた人物で、魔女狩りに熱心だった。

 1627年。ある少年が「ファウスト博士」を読んでいたのをきっかけに、それを勧めた召使が魔女として捕まり、召使は少年とその母親を告発し、という流れで、どんどん町の人間は魔女にされていった。魔女狩りに反対した市長や、元市長などの上流階級の人も次々と告発され、拷問された上に処刑された。

 しかし、1631年、バンベルクの住民が町を脱出し、周辺大都市に駆け込んで助けを求めたことで状況は変わった。神聖ローマ帝国首都のウィーンなどには、魔女狩りを理性的に否定する知識階級が数多く存在した。裁判所はゲオルク2世に魔女狩りを禁止する命令を発した。また当時の戦争でゲオルク2世が町を脱出すると、住民はあっさり魔女狩りを止めた。


●ヨーロッパでの魔女狩りの終焉、しかし……

 やがてヨーロッパ各地で魔女狩りを鎮める動きが出てきた。ドイツ人司祭フリードリヒ・シュペーは、匿名で「検察官への警告」という本を書き、魔女などはいなかったと自分の過ちを悔いている。18世紀になると理性を重んじる時代となり、魔女狩りはヨーロッパでは消えていった。

 しかし、現代21世紀になっても魔女狩りは無くなっていない。SNSでのデマに踊らされ、フランス、メキシコ、インドなどで、大衆が無実の人間を集団でリンチしたり虐殺したりする事件が次々と起こっているのである。

感想

 ひいい、久しぶりに見ましたが、相変わらずきついというか気分が悪くなるような内容です……
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
魔女狩り (ヨーロッパ史入門)
魔女狩りという狂気
 

【科学】感想:NHK番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」『夢のエネルギー“常温核融合”事件』(2021年2月25日(木))

常温核融合スキャンダル―迷走科学の顛末

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 https://www.nhk.jp/p/ts/11Q1LRN1R3/
放送 NHK BSプレミアム

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 
※他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

科学は、人間に夢を見せる一方で、ときに残酷な結果をつきつける。
理想の人間を作ろうとした青年フランケンシュタインが、怪物を生み出してしまったように―
輝かしい科学の歴史の陰には、残酷な実験や非人道的な研究、不正が数多くあった。
そんな闇に埋もれた事件に光を当て、「科学」「歴史」「倫理」に迫るシリーズが帰ってくる。


ナビゲーター/ナレーション 吉川晃司 (ミュージシャン)

 

夢のエネルギー“常温核融合”事件 (2021年2月25日(木)放送)

 

内容

フランケンシュタインの誘惑(4)「夢のエネルギー“常温核融合”事件」
[BSプレミアム] 2021年02月25日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)


20世紀最大の科学スキャンダル“常温核融合”事件。無限に使える夢のエネルギー発見に世界中の科学者が踊らされた! 名だたる科学者たちが次々と追試成功を報告するが…


科学史の闇に迫る知的エンターテインメント。今回取り上げるのは、20世紀最大の科学スキャンダル“常温核融合”事件。1980年代末、安価で無限に使える夢のエネルギー発見に、世界中の科学者が踊らされた!第一発見者の名誉と世紀の発見がもたらす巨額の富をめぐる、科学者同士の大学を巻き込んでの争い、だまし、抜け駆け。さらに名だたる科学者達が次々と追試に挑み成功を報告するが…。当事者たちが、事件の真相を語る!


【ナビゲーター/ナレーション】吉川晃司,【出演】成田晋也,笠田竜太,【司会】武内陶子

 
 今回のテーマは「常温核融合」。


●20世紀最大の科学スキャンダル

 1989年3月23日、電気化学者のマーティン・フライシュマンとスタンレー・ポンズが、常温で核融合が起こったことを発表し世間を驚かせた。簡単に無尽蔵のエネルギーが手に入るという可能性に人々は狂喜したが、わずか七ヶ月後には「根拠がなかった」として完全に否定された。この騒ぎは「20世紀最大の科学スキャンダル」ともいわれる。



核融合とは

 核融合とは太陽の中で起きている核反応で、水素が融合してエネルギーを生み出す反応。反応の大きさに上限が無く、既存のウランなどを使った原子力利用と比較して格のゴミが遥かに少ない、地球に大量にある水素を燃料に出来る、など、夢のエネルギー源である。しかし反応を人工的に起こすためには一億度の熱が必要とされていた。



●驚異の発表

 1989年3月23日、電気化学者のフライシュマンとポンズが記者会見を開き、常温で核融合の成功について発表した。

 二人が行った方法は電気分解だった。水素を大量に含む「重水」を電気分解すると、プラス極から酸素が、マイナス極から重水素が、それぞれ発生する。その際に、マイナス極の電極をパラジウムにすると、パラジウムは体積の1000倍の水素を吸い込む性質があるため、大量の重水素が集まり、その結果核融合が発生したと説明した。



●成果争い

 ポンズと師匠のフライシュマンは、電気分解実験を行ううち、パラジウムが蒸発していることを発見し、これは常温核融合が起きているためと考えた、そして研究費用をエネルギー省に出してもらうため、1988年に申請書類を提出したが、その内容をチェックする科学者たちの中に、同様の研究をしているスティーブン・ジョーンズがおり、ジョーンズはケチをつけて申請を却下してしまう。その後何回申請しても同様であった。

 やがてポンズとフライシュマンは審査員の中にジョーンズがいることに気が付き、ジョーンズは二人に共同研究を持ち掛けてきた。ポンズ&フライシュマンの所属するユタ大学と、ジョーンズのブリガムヤング大学は、1989年3月6日に関係者が協議し、「(1)論文を3月24日に同時投稿する「(2)論文受理までは対外発表しない」という取り決めに合意した。

 ところがポンズとフライシュマンは、すぐに合意を破って論文を投稿し、さらに常温核融合に関する特許を申請、3月23日には記者会見を開いたのである。



●絶頂

 発表内容に、核研究の重鎮エドワード・テラーは有望である旨コメントした。また世界中の科学者がすぐさま追試にとりかかった。

 常温核融合が起きていると確認するには、

(1)熱の発生の検出
(2)核反応に伴う「中性子」や「ガンマ線」の検出
(3)核反応で生成されるトリチウムの検出

が必要となる。そして世界中の科学者が次々と追試に成功したのだった。

 4月にはアメリカ政府による公聴会が開かれ、その様子はテレビで生中継されるほどの注目を集めた。



●信ぴょう性なし

 ところがすぐに科学者たちからの批判が巻き起こった。論文では入力したエネルギーの12倍のエネルギーが生み出されたと書いてあったが、それは実際に計測した物ではなく、計算ではじき出された値で、しかもその計算が間違っていることが明らかになった。またデータの一部だけを切り取って都合の良いように使っていることも判明した。

 1989年5月にはエネルギー省が研究室の査察を行ったが、ポンズたちは信頼性のある証拠を提出できなかった。

 しかも世界中の科学者たちの追試も上手くいかなかった。成功したという報告は、単に思い込み・計測ミス・機械の故障等による誤りだった。

 1989年11月、エネルギー省は常温核融合について「信ぴょう性が無い」と切り捨てた。ポンズとフライシュマンはアメリカから姿を消した。



●その後

 常温核融合の研究は現在でも続けられており、1980年代には存在しなかったナノテクノロジーを使っての実験が続けられている。

 アメリカを去ったポンズとフライシュマンは、その後フランスで常温核融合の研究を続けたが、1990年代半ばに撤退した。そしてフライシュマンは2012年に死去、ポンズの消息は不明である。


感想

 「試験管で核融合」という事で大騒ぎとなったあの事件がテーマの回。「闇の事件簿」に相応しいチョイスです。面白すぎて見ていて時間がたつもの忘れましたよ。いやー、想像していた以上にずさんな研究の話でした。

 ちなみに「追試に成功した!」と発表した科学者のコメントを取っていて「実は間違いでした、と発表するときには死刑台に行くような気持だった」とか、リアルなコメントが聞けたのは良かったですね。
 
 
 

※他の回の内容・感想は、以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com


 
フランケンシュタインの誘惑(NHKオンデマンド)
フランケンシュタインの誘惑(NHKオンデマンド)
 
カルト的人気を誇る、NHKフランケンシュタインの誘惑」待望の出版化!
闇に魅入られた科学者たち―人体実験は何を生んだのか
 
 

【洋ゲー】「モスマン1966」ってゲームに心惹かれる【レトロ風味】

週刊ファミ通 2022年6月23日号 No.1749

http://www.amazon.co.jp/dp/B008BE8URC
週刊ファミ通 2022年6月23日号 No.1749 雑誌 2022/6/9
出版社:KADOKAWA (2022/6/9)
発売日:2022/6/9
雑誌:144ページ

 
 今週発売のファミ通は『白夜極光』1周年記念特集! とか言われても全く知らないゲームなので、特集はスルーしてその後をペラペラ見ていたら、さらっと2ページで「モスマン1966」という1980年代の洋ゲーテイスト満載のAVGが紹介されていてオオッとなりました。モスマン、つまりUMAをテーマにしたAVGということで、オカルト好き的にもAVG好き的にもちょっと見逃せない感じ。

トレーラー
www.youtube.com
 

 調べてみると、こんな記事がみつかりまして。

ドット絵パルプフィクション『Mothmen 1966』7月14日発売へ、日本語対応。未確認生物モスマンをめぐる陰謀 - AUTOMATON
By Yuki Kurosawa
2022-04-28 14:48
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20220428-200833/

automaton-media.com

国内パブリッシャーのコーラス・ワールドワイドは4月27日、『Mothmen 1966』を7月14日に発売すると発表した。対応プラットフォームはPC/PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch

 

『Mothmen 1966』はピクセルアートで描かれたパルプフィクション、「Pixel Pulp」を名乗る作品だ。パルプフィクションとは、米国の安雑誌にて語られた、大衆小説や与太話のような物語のこと。20世紀中盤のパルプフィクションと、1980年代のコンピューターグラフィックスから影響を受けた文章やドット絵で物語が展開される。本作の舞台となるのは、1966年。しし座流星群の間に起こった、奇妙な出来事が描かれるという。事件に巻き込まれた若いカップルやガスステーションのオーナー、そして超常現象調査員のドラマが主軸となる。陰謀が渦巻くなか、悪夢的なクリーチャーや、黒いスーツに身を包んだ謎の男たちが暗躍するという。

 

タイトルにある「モスマン」とは、米国にて実際に社会現象ともなった噂話。1966年、アメリカのウェストバージニア州で目撃が報告された未確認生物だ。2m近い体長で、腕がない代わりに背中に大きな翼をもつ。しかし飛行するときは翼をはばたかせることがなく、そのスピードは自動車をしのぐといわれる。正体は鳥類の誤認であるとか、エイリアンのペットであるとか、さまざまな説が現在も囁かれている謎のUMAだ。『Mothmen 1966』でも、このモスマンをめぐる事件が描かれるのだろう。トレイラーでは、翼をもって飛行する生き物について調査する男が登場している。

 
 こういううさん臭いテーマ好きだし、昔風のグラフィックもホッとするし。ちょっとやってみたいねコレは。 
 
プロフェシー [DVD]

 

【オカルト】オカルト雑誌「ムー」からビジネス本が爆誕!「オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術」【ビジネス書?】

オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術

http://www.amazon.co.jp/dp/4054068219
オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術 単行本 2022/6/2
三上丈晴 (著)
出版社:学研プラス (2022/6/2)
発売日:2022/6/2
単行本:240ページ

【※以下ネタバレ】
 
 オカルト雑誌の一大ブランド「ムー」。この雑誌の編集長・三上丈晴氏は編集業と並行して、黒サングラスをかけた怪しいキャラクターでタレント的に顔出しの仕事でも活躍していますが、その三上氏が書いたビジネス本が誕生。以下の記事を読む限り、結構面白そうです。

国民的オカルト雑誌・月刊「ムー」からビジネス書!?『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』が本日発売。役に立つか、立たないかは、あなた次第。|株式会社ワン・パブリッシングのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000394.000060318.html

prtimes.jp

 

月刊「ムー」編集長が、謎に包まれた「舞台裏」を初公開! 「『あやしい』は誉め言葉」「編集とは料理である」「恋愛の距離感で編集せよ」…など、ビジネスパーソン必見の名言も満載。
株式会社ワン・パブリッシング
2022年6月2日 08時00分

 

1979年11月号=創刊号から数えて、2022年7月号で、「ムー」は創刊500号を迎えます。2005年に5代目編集長に就任した三上丈晴氏が、オカルト編集のすべてを語ります。

 

「ムー」の歴史、日本のオカルトの歴史がわかる!!
当時の学習研究社(通称:学研)で「ムー」が生まれた経緯や、創刊直後のピンチを乗り越えた「ムー」の改革秘話など、現在の月刊「ムー」ができるまでを三上編集長の視点から語ります。ユリ・ゲラーなど「ムー的」重要人物、UFO、UMA、心霊写真、ノストラダムスなどの鉄板記事を、「ムー的」視点で振り返ります。

●「ムー民」でないあなたにも通用する仕事術を学べる!!
「ムー」の仕事術は、「ムー」と交わらない人々の心も打ちます。役に立つか、立たないかは、あなた次第です。

 

【「あやしい」は誉め言葉】
「ムー」が扱うテーマを包括する言葉はない。あえていうなら「あやしい雑誌」といったところか。「あやしい」という言葉は「ムー」にとっては誉め言葉だ。なので、雑誌を紹介するときには「日本一あやしい雑誌」と称することにしている。

 

【「ムー民」の期待】
月刊「ムー」の読者、すなわち「ムー民」のリテラシーは世間が思う以上に高い。レベルの高い読者に支えられ「ムー」は今日まで続いてきた。ムー民の期待に応えるべく編集部は日々研鑽を続ける。読者のほうが意識が高いと肝に銘じている。

 

【やれることは何でもする】
編集者とは雑誌や書籍に関わる雑用をこなす「何でも係」だ。原稿依頼や取材の申し込みでは相手の顔色を伺うお調子者。編集者の極意は「人たらしであること」。理想の記事のため、やれることは何でもするのが編集者である。

 

【編集とは料理である】
雑誌「ムー」の記事テーマという“食材”はいつも変わらない。同じ食材を使っていかに違う料理を作るか。同じネタでいかに違う記事にするか。工夫次第でいくらでも魅力的なページを作ってみせる、そこが編集者の腕の見せ所だ。

 

【恋愛の距離感で編集せよ】
編集者と読者の関係は恋愛に似ている。雑誌は愛の結晶だ。精魂込めて作った本を読者に届ける。読者は大いなる期待を胸にページをめくる。読んだあと、面白さを味わう充実感という至福を得られれば恋愛成就。これほどの幸せはない。

 

【1パーセントのニュートラル】
超能力や幽霊、UMAなどは存在しない。そう考えるのは自由である。だが、99パーセントありえないと思っても、どこかに1パーセントだけ判断を留保する。ひょっとしたら、ありうるかもしれないという思いを保つ。それが大事だ。

 

【オカルト通の合言葉「ムー的」】
編集部ではたびたび「ムー的」という言葉を使う。会話で何かあやしい話が出たときなどに「それってムー的だよね」というのだ。オカルト通ぶりたい方はこの「ムー的」を使ってみてほしい。あやしい目で見られること請け合いである。

 
 面白そうじゃん?
 
 

 

【オカルト】感想:オカルト雑誌「ムー2022年7月号」:創刊500号! こんな雑誌を500冊も読んで来たのか【驚愕】

ムー 2022年7月号

ムー|株式会社ワン・パブリッシング
https://one-publishing.co.jp/magazines/mu-202207/

one-publishing.co.jp

ムーPLUS
https://muplus.jp/

muplus.jp
【※以下ネタバレ】
 
 オカルト界の一大ブランド、最近は「地球の歩き方」とのコラボでも話題を呼んだ「ムー」がついに創刊500号を達成しました……、こんな雑誌を500冊も読んで来たのか……(笑) ということで記念すべき号の感想をさらっと。


●カラー記事

・都市ボーイズ・はやせやすひろを襲った「呪いの人形絵」の恐怖
サウジアラビア前方後円墳そっくりの遺跡群が発見された!!
ミシシッピ川に怪人UMA「リバートロール」が出現!!
フリーメーソン専門店「STRANGE LOVE/M」が新装開店!!
・未知との邂逅が描かれた!? インドの「異星人壁画」

 はい、いつもの通りです。



●総力特集 未来人ジョン・タイターが明かすUFOとエリア51の謎

アメリカ軍の秘密基地として、その名を知られるエリア51!! だが、その存在が公になったのは、ごく最近のことである。実態は、今なお謎のベールに包まれている。はたして、エリア51には何があるのか。元関係者ロバート・ラザーの証言を緻密に検証し、その秘密を探っていくと、ひとりのタイムトラベラーの存在が浮かび上がってくる!!

 
 執筆は「嵩夜ゆう」(たかや・ゆう)氏。過去にも「エジプトのピラミッドは実は原子炉だった!」などの強烈な特集記事を書いており、キテレツ度においてムー屈指のお方。そのため今回の内容も素敵な内容でして。

 つかみは、UFOマニアならお馴染みのアメリカの秘密基地「エリア51」の紹介。そして話題は流れるように『エリア51アメリカがUFOを研究している』とぶちまけたロバート・ラザーの話へ移行。現在のオカルト界隈では、ラザーの自称した経歴は真っ赤な嘘で、ゆえに完璧にほら吹きという事で評価が固まっていますが、嵩夜氏は全てはアメリカ政府の圧力で公的記録が書き替えられたのであって、ラザーのいう事は本当、と強烈に主張してきます。

 ラザーによると、彼はエリア51でUFOを飛ばす研究をしていたそうですが、ここで嵩夜氏はアメリカが研究していたのはエイリアンクラフトではなく「タイムマシン」だった、という新説を披露します。

 そして、ここで唐突に出てくるのが「ジョン・タイター」。かつてアメリカのネット掲示板で「自分は未来から来たタイムトラベラー」と主張した謎の人物で、ゲーム「シュタインズ・ゲート」で取り扱われたことで、一躍オカルト愛好者以外にも名前が知られるようになったキャラクターです。

 嵩夜氏はタイターが「タイムマシンは過去に行き過ぎると戻ってこれなくなる」云々と主張していたことを引き合いに出し、ラザーが研究させられたのは、その過去に行ってしまってそのまま埋もれていたタイムマシンを発掘した物、だと断定します。何故ならラザーの描写したUFOとタイターの説明したタイムマシンの形が似ているから。タイムマシンの時間移動機能は取り外し、空間を移動する機能だけ残して研究していたのが。エリア51のUFOだったというのです!

 そして、嵩夜氏はロバート・ラザーとジョン・タイターの二大巨人をネタに凄い説を展開するのですが……、凄すぎてついていけませんでした(笑) 



●その他
ユリ・ゲラーが警告!! 異星人の地球侵略が迫っている!?

 タイトルそのまんま(笑)


・火星の小人

 火星で活動中の探査機が撮影した写真には、謎の小人がこれでもかと写っていた! なんだって~!?(笑)



●読者コーナー

 奇々怪々な各種記事とは全くうって変わったほのぼのした雰囲気。

 「創刊500号おめでとうございます。親子三代でムーを読んでいます。子供の頃父が買ってきてくれて読むようになりました。その後私も親になり、子供もムーを読んでいます。まだ子供には難しそうなので子供向けの別冊なんか付けてくれると嬉しいです」

 等の祝福のメッセージでいっぱい。別のページで「異星人が」とか「心霊現象が」とかの記事が載っている雑誌だとは思えませんでした(笑)



 ということで、ムーの旅はまだまだ続きます。


ムー 2022年7月号

ムー 2022年7月号

  • ワン・パブリッシング
Amazon


地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA
地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA


オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術
オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術
 
 

【数学】感想:NHK番組「レギュラー番組への道」『笑わない数学 フェルマーの最終定理』(2022年6月11日(土)放送)

図解雑学 フェルマーの最終定理 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!-)

レギュラー番組への道 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/RJ5G2XZ4N3/
放送 NHK総合。2022年6月11日(土)

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

レギュラー番組への道
全国のテレビ番組制作者たちが「レギュラー番組化」を目指して腕を競う、チョットとんがった開発番組枠!

 

内容

レギュラー番組への道「笑わない数学」
[総合] 2022年06月11日 午後11:30 ~ 午前0:00 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。数学史上最大のミステリーと呼ばれた「フェルマーの最終定理」。超難問はどのように解けたのか!?


17世紀、フランスの天才数学者フェルマーは、あるメモを書き残した。「“xのn乗+yのn乗=zのn乗”を満たす自然数x、y、zは存在しない(nは3以上)」。ところが、これが正しいことを示す証明が「紙の余白がない」という理由で残されていなかったのだ。果たして、フェルマーの言葉は正しいのか?中学生でも理解できるこの問題に、多くの数学者たちが挑戦し、敗れ去った。証明に至るまで350年、苦闘のドラマを描く。


【司会】尾形貴弘

 
 番組名「笑わない数学」。テーマは「フェルマーの最終定理」。350年間解けなかった数学史上最大の難問。


●どんな難問だったのか?

 「Xの2乗 + Yの2乗 = Zの2乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するか? この問いの答えは、簡単に「X=3、Y=4、Z=5」が見つかる。(9+16=25)

 その他にも「X=5、Y=12、Z=13」 「X=8、Y=15、Z=17」 「X=7、Y=24、Z=25」 「X=20、Y=21、Z=29」 等、答えは無数にある。


 では「Xの3乗 + Yの3乗 = Zの3乗」を満たす「X、Y、Z」は存在するか? 適当に計算してみても答えは見つからない。そしてフェルマーはこういったのである。

 ↓
『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』



フェルマーが残した難問

 ピエール・ド・フェルマー(1607年~1665年)はフランスの数学者で、同時代の科学者は、ケプラーガリレオニュートンなど。確率論や幾何学を研究し、当時の数学界をリードする存在だった。

 フェルマーが30歳の頃、数学の本の余白に『nが3以上の場合、「Xのn乗 + Yのn乗 = Zのn乗」を満たす「X、Y、Z」は存在しない』、さらに『私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる』という言葉を書きしるし、問題の証明をしないまま世を去ってしまった。(※n=4の場合だけ証明している)



●ソフィ・ジェルマンの方法

 その後、大数学者レオンハルト・オイラー(1707年~1783年)が「n=3」の場合を証明した。しかし、nの数は無限に有るので、一つ一つ証明していってはキリがない。


 やがてソフィ・ジェルマン(1776年~1831年)という数学者が、複数のnをまとめて証明する方法を見つけ出した。

 ソフィ・ジェルマンの時代、女性が数学を学ぶことは一般的では無かった。ソフィ・ジェルマンは親の反対を押し切って独学で数学を学び、男性のふりをして大学で学んだ。ソフィ・ジェルマンは「数学の王」と呼ばれた大数学者ガウスと男性のふりをして文通していた。

 1804年、ソフィ・ジェルマンはフェルマーの最終定理を証明したとしてガウスに手紙を送った。ソフィ・ジェルマンは「素数のうち、二倍して1を足すとそれも素数になる数」、つまり5や11などがnの場合は、条件付きでフェルマーの最終定理が成り立つことを証明した。

 しかしソフィ・ジェルマンは女性ゆえに、この内容を論文として発表することは出来なかった。ソフィ・ジェルマンはガウスに自分が女性であることを明かし、ガウスゲッチンゲン大学名誉学位を与えるように動いたが、ソフィ・ジェルマンはその前に亡くなってしまった。



●難航、そして証明へ……

 ソフィ・ジェルマン以降もフェルマーの最終定理を証明しようとする試みは行われたが、誰も成功しなかった。数学者たちの間では、この問題は証明できないのではとあきらめムードになっていた。

 一方、日本の数学者・志村五郎(1930年~2019年)と谷山豊(たにやま・とよ)(1927年~1958年)は、ある方程式と、エッシャーの絵のような図形が実は繋がっている、という予想を立てた。それを簡単に言うと「すべての楕円曲線はモジュラーである」と表現でき、これを「志村-谷山予想」という。しかしこの予想も証明されないままだった。


 1986年、ケン・リベット博士とゲルハルト・フライ博士は、驚くべき発見をする。それは『「志村-谷山予想」が正しいなら、「フェルマーの最終定理」は正しい』という事だった。

 そして1995年にアンドリュー・ワイルズ博士が「志村-谷山予想」の一部を証明することで、フェルマーの最終定理の証明に成功した。


感想

 レギュラー放送化を目指す番組を取り上げる「レギュラー番組への道」。今回は「笑わない数学」という番組で、この番組は過去に地上波やBSプレミアムでちょこちょこと放送されていたそうです……、全然知らなかった……(T△T)

 そして記念すべき回のお題は「フェルマーの最終定理」。数学は大嫌いですが、これについては過去にちょっと興味を持ってネットで調べ回った時期が有ったので、そこそこ知識があり、どう紹介するのか興味津々でしたが……


 まあ問題そのものの説明は良かったのですが、解決のキーとなる「志村-谷山予想」の紹介が正直何が何だか分からん! ナレーションで「我慢してついてきてください」と言われましたが、ついて行っても結局何が何だかでした。ここは軽く流して「すべての楕円曲線はモジュラーである」だけ言えばよかったのでは?


 しかも、ここまでで説明に時間をくい過ぎて、その後が駆け足になり過ぎ! もちっと詳しい説明をしてほしかった。


1)ゲルハルト・フライ博士が『「フェルマーの最終定理」が間違っていると仮定するとどうなるか?」という方向で研究すると「モジュラーでない楕円曲線」が存在することになった。→ つまり「「フェルマーの最終定理」が間違っているなら、志村-谷山予想」は間違っている』という事になる

2)これの「対偶」をとる、つまりひっくり返すと、『「志村-谷山予想」が正しいなら、「フェルマーの最終定理」は正しい』という事になる。

3)フェルマーの最終予想を証明するには、直接証明しようとするのではなく、「志村-谷山予想」が証明できれば良い

4)ワイルズは「志村-谷山予想」を証明した

という流れです。



ちなみに

笑わない数学 ~フェルマーの最終定理日本電波ニュース社
https://ndn-news.co.jp/tv/2543/

ndn-news.co.jp

 
を読むと

6/11(土)NHK総合「レギュラー番組への道」23:30?にて放送
7~8月にNHK総合でシリーズ放送予定。この回のみ先行放送。
ディレクター 福田玲音
プロデューサー 江南亮


芸人のパンサー尾形貴弘がナビゲーターとして、「無限」「素数」「四色問題」など、謎に満ちた数学の魅力を“笑わせず”に大真面目に解説する。各テーマに沿って、基本的な概念、鍵となる人物の魅力的なヒストリーも取り上げる数学エンターテイメントのシリーズ番組。


今日のテーマは“数学史上最大のミステリー”とも呼ばれたフェルマーの最終定理だ。フェルマーが最終定理を残してこの世を去ってから、完全に証明されるまで、およそ350年もかかった。数多くの著名な数学者たちは、どのようにその証明に挑んできたのだろうか…。

 
と書かれており、今年夏にシリーズ放送されるような雰囲気です。ちょっと期待かな。
 
 
 
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
天才数学者たちが挑んだ最大の難問―フェルマーの最終定理が解けるまで
数論とフェルマーの最終定理 (図解雑学)
解決!フェルマーの最終定理―現代数論の軌跡
 
 
 

【ドラマ】感想:海外ドラマ「刑事コロンボ」第33話「ハッサン・サラーの反逆」

刑事コロンボ完全版 1 バリューパック [DVD]

刑事コロンボ https://www.nhk.jp/p/columbo/ts/G9L4P3ZXJP/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

第33話 ハッサン・サラーの反逆 A CASE OF IMMUNITY (第5シーズン(1975~1976)・第2話)

 

あらすじ

刑事コロンボ(33)「ハッサン・サラーの反逆」
[BSプレミアム]2020年11月11日(水) 午後9:00~午後10:14(74分)


刑事コロンボ』旧シリーズ一挙放送!中近東スワリ国総領事館で殺人事件が発生!コロンボは“外交官特権”を持つ犯人と、どう対決するのか?


ロサンゼルスにある中近東スワリ国総領事館の総領事代理ハッサン・サラーは、職員のハビブと共謀して警備隊長を殺害。アリバイ作りのため、スワリ国王の警備に関する会議に出席したサラーは、警備隊長のフリをしたハビブからの電話を受ける。だがその会議にはコロンボも出席していた。サラーは外交官特権があるため警察は逮捕できない。そこでコロンボが取った秘策とは?

 
●序盤

 ロサンゼルスにあるスワリ王国総領事館の総領事代理ハッサン・サラー(犯人)は、総領事館の警備隊長ユセフ・アラファ殺害を計画していた。サラーは部下のロッホマン・ハビーブ(共犯者)に自分のオフィスを荒らさせ、また金庫の中の書類を出して焼き捨てた後、アラファを電話で呼びつけ、隙を見てアラファを背後から撲殺した。

 その後、サラーはアリバイ作りのため、ロス警察本部に会議に出かける。そして午後四時直前、総領事館にいるハビーブはアラファのふりをしてサラーに電話をかけ、アラファがまだ生きているように偽装した。そのあとハビーブはオフィスの金庫に仕掛けた爆弾を爆発させ、さらに車で総領事館から逃亡した。


●中盤

 警察は総領事館での殺人事件の捜査に取り掛かり、サラーのオフィスの壁に(ハビーブがスプレーで書いた)政治的スローガンが書かれていたことから、反政府勢力が総領事館に忍び込み、アラファを殺害したと判断する。またオフィスの金庫に入っていた60万ドルが消えたことも解る。

 コロンボは現場で、焼かれた書類の上に、爆発で落ちて来た漆喰が積もっていたことから、金庫の爆発より前に既に書類が取り出されていたことを見抜く。またアラファが午後三時の休憩の際に入れたコーヒーが手つかずで残っていたこと、銃も抜かずに殺されていたこと、等を考え併せ、「アラファは午後四時頃の爆発より前に殺されていた」「アラファは顔見知りに殺された」「犯人は金庫の番号を知っている人物」という事を推理する。

 コロンボ総領事館の館員について調べ上げ、サラーに休暇中のロッホマン・ハビーブの行方だけが確認できていないことを伝える。逃走した車についての目撃者の証言では、運転者の人相は、ハビーブその人だった。サラーは何も知らないような顔でハビーブが宿泊予定のニューヨークのホテルへ連絡を取るが、当然ハビープは宿泊していなかった。

 夜。サラーはこっそり総領事館を抜け出し、ハビーブと落ち合うと、外国への逃走を手助けする振りをして隙を見て撲殺。さらに死体にメガネをかけさせ車に乗せて崖から転落させる。

 翌日。コロンボはサラーを訪ねハビーブが死体で見つかったことを伝える。サラーはハビープは反政府過激派の一員でアラファ殺しもハビーブの仕業という方向で済まそうとするが、コロンボはハビーブがコンタクトを着用しているのに、さらにメガネをかけていたことから、何者かが殺したあとかけさせた、つまり他殺だと断定する。

 翌日。コロンボ総領事館を訪問すると、スワリ国王アームド・カマルが訪米しており、パーティの最中だった。サラーはあからさまにコロンボを迷惑がるが、コロンボはハビーブ自身がホテルの予約をしたのではない事などをあげ、明らかに総領事館内に共犯者がいることを示唆する。

 直後、国務省の役人がロス警察本部を訪れ、サラーがアメリカ政府に対してコロンボの行動に抗議してきた事を伝え、コロンボに外交交渉を妨害するなと命じる。コロンボはサラーが殺人犯だと主張するものの、役人は真剣に取らず、コロンボはサラーに謝罪の詫び状を出すという事でその場を収める。

 コロンボは詫び状をもって総領事館に入るが、出迎えたサラーに対し、サラーが二件の殺人の犯人だとはっきり言い切る。立腹したサラーはコロンボが不法侵入者だと言って総領事館から追い出す。


●終盤

 サラーは空港で国王の帰国を見送った後、総領事館に戻るが、コロンボが門の外で待ち構えていた。コロンボはサラーに、今回の件で警察をクビになりそうなので、是非謝罪させて欲しいと泣きつき、サラーはコロンボを中に入れる。サラーは二人きりになると、コロンボに自分が犯人であると告白し、さらには殺人の動機はスワリ国内の勢力争いに関係していることなどを親切に説明する。

 コロンボはサラーがここまで明かすのは外交官特権で逮捕されないからだと指摘すると、サラーは涼しい顔で肯定する。ところがそこに帰国したはずの国王が姿を現し、サラーをスワリに送還し自国で裁判にかけると言い放つ。実は国王はコロンボの助言で、帰国した振りをして、一足先にヘリで総領事館に戻っていたのだった。

 サラーは、スワリで裁判にかけられれば斬首されると怯え、慌ててコロンボに外交官特権を放棄するので逮捕してくれと懇願する。コロンボは、最初は国際問題云々と渋るものの、あらかじめ用意していた自白の宣誓書を取り出し、サラーは喜んでサインするのだった。


監督:テッド・ポスト
脚本:ルー・ショウ(原案:ジェームズ・メンジス James Menzies)


感想

 評価は○(まずまず)。

 コロンボが異国の総領事館で捜査を行うという、普段とはちょっと代わった雰囲気の作品だが、なかなかに面白かった。


 コロンボ・シリーズのシーズン5(1975~1976年/第32話~第37話)は、テーマとして「今までと違うコロンボ」を掲げていたそうで、各作品を見るとなるほど色々と今までと変化が付けられているが、今回は「領事館」というアメリカの中の異国を舞台とするエピソードとなっている。そのため、登場人物が中近東風の服装をしている中でコロンボが捜査をしている様は、普段とは結構変わった印象を受ける。

 しかし、事件がどこで起きようとも、コロンボの観察眼と推理の組み合わせはいつものごとく冴えており、『書類の灰の上に漆喰が落ちていることから、金庫の爆破の前に書類は既に焼かれており、故に犯人は金庫の番号を知る人物である』云々というように、サラーの完璧と見えた犯行のほころびを次から次から見つけていく。この辺りの展開は実に上手く、シナリオの組み立ての見事さに感心しきりだった。

 本作は74分枠で短めなので、余計な回り道も無く、実にテンポよく手掛かりを見つけて真犯人のサラーに迫っていくのが楽しい。とぼけた刑事を装いながら、要所要所で暗にサラーが犯人だと匂わせ、サラーをイライラさせる描写も良く出来ており、コロンボ物のフォーマットに従った申し分のない話だった。


 最後は、コロンボが国王の協力を得てサラーに罠を仕掛け、サラーに自分から罪を認めさせるという展開となり、実に面白かった。それまでは余裕綽々だったサラーが、母国の裁判を怖れて一転コロンボに逮捕してくれと泣きつく流れは痛快の一言に尽きた。

 コロンボは、過去にも『完璧に計画を実行し証拠を残していない狡猾な犯罪者』を逮捕するため、犯人に巧妙な罠を仕掛けてボロを出させる、という手をよく使っているので、いつもの手を又繰り出してきたともいえるが、協力者が一国の国王で、国王がサラーに飛行機で飛び立ったと錯覚させるなど引っ掛けののスケールも大きく、その辺りの騙しの過程も楽しかった。

 サラーがコロンボに逮捕してくれとせがむと、コロンボはとぼけて「そうしたいのは山々なんですが……、国務省のお役人にも国際問題だって釘刺されているんでねぇ、ここで波風立てますとねぇ、お国で裁判受けた方が無難でしょう?」「でもまずいんですよ、何しろねぇ、細かい所はともかく、ほとんどが状況証拠ですからねぇ、裁判やっても難しかろうと」とか後ろ向きな事を言っておきながら、実はしっかり懐にサラーの自供に備えた書類を用意してる、という小芝居には何度でも繰り返してみたくなる名シーンだった。

 まあ、一つ気になるとすれば、コロンボはどのタイミングで国王に連絡を取ったのか、という点である。地方警察の刑事が、一国の国王に、総領事館の最高責任者のサラーの目を盗んでどうやって接触したのか、と考えると結構無理がある展開に思えなくもないが、 胸のすくような結末だったので深くは考えない方が良いかもしれない。


 このエピソードは、駆け出し時代のジェフ・ゴールドブラムがチョイ役で出演しているので有名(?)である。開始から55分過ぎ、総領事館の前でぐるぐる歩いているデモ隊の一員の中におり、車が入って来るあたりで一瞬だが顔がしっかり映っている。

 作品のサブタイトル「A CASE OF IMMUNITY」は、意訳すると「免責の事例」。犯人のサラーが外交官特権で罪を許される、という意味と思われるが、最後には自分から外交官特権を放棄して罰してくれと懇願する羽目になったので、最後まで見ると皮肉な感じがして悪くない。


その他

 放送時間:1時間14分。
 
 

ピーター・フォーク小池朝雄ヘクター・エリゾンド…井上孝雄,サル・ミネオ…宗近晴見,ケネス・トビー…松下達雄,クセーニャ・グラチョス…三浦真弓,バリー・ロビンス…坂部文昭,【演出】テッド・ポスト,【脚本】ルー・ショウ

 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
刑事コロンボ完全版 2 バリューパック [DVD]
刑事コロンボ完全版 3 バリューパック [DVD]
刑事コロンボ完全版 4 バリューパック [DVD]
刑事コロンボ完全捜査ブック
 
 
 
 

【ドラマ】感想:海外ドラマ「刑事コロンボ」第34話「仮面の男」

刑事コロンボ完全版 1 バリューパック [DVD]

刑事コロンボ https://www.nhk.jp/p/columbo/ts/G9L4P3ZXJP/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

第34話 仮面の男 IDENTITY CRISIS (第5シーズン(1975~1976)・第3話)

 

あらすじ

刑事コロンボ(34)「仮面の男」
[BSプレミアム]2020年11月18日(水) 午後9:00~午後10:38(98分)


刑事コロンボ』旧シリーズ一挙放送!かつて二重スパイで荒稼ぎしていたCIA情報部員が恐喝してきた相棒を殺害。コロンボの前にCIAが立ちはだかる!


表向きは経営コンサルタント、実はCIA情報部員であるネルソン・ブレナーは、かつて二重スパイの“内職”で荒稼ぎした相棒ヘンダソンから、過去の報酬を支払わなければ、“内職”の件をばらすと脅される。するとブレナーは、ヘンダソンを巧みに誘い出し、強盗事件に見せかけて殺害した。やがて捜査の結果、ブレナーにたどりついたコロンボの前に、CIA幹部が立ちはだかる!

 
●序盤

 CIAの情報部員ネルソン・ブレナー(犯人)は、同僚のコードネーム「ジェロニモ」(被害者)に新しい作戦を指示するために接触した。ジェロニモは、かつてブレナーが南米で二重スパイの「内職」を働いて大金を荒稼ぎした時の相棒だった。ジェロニモはブレナーに、当局に「内職」を通報されたくなければ口止め料を払う様に要求し、ブレナーはそれを承諾したあと、ジェロニモに任務を伝える。

 ジェロニモの任務は、スタインメッツなる人物から、海軍の暗号表のマイクロフィルムを買い取る事だった。ジェロニモは夜の海岸でスタインメッツの使者と接触し、今後のことを取り決めるが、その後ジェロニモが一人になったところにブレナーが現れ、隙を見てジェロニモを撲殺した。


●中盤

 「追いはぎ天国」と称される海岸で男の死体が発見された。被害者(=ジェロニモ)は物入れなどを全て奪われており、追いはぎの被害者と思われたが身元の手掛かりは全く無かった。コロンボたちは、被害者が近くのバーで飲んでおり、その後を黒人男性が付けていったという証言を得る。

 ブレナーは犯行の翌日の早朝、演説の草稿をテープに吹き込むが、置き時計の時間を細工し、録音中に時計が11回鳴る音が入るようにする。

 コロンボたちはタクシーやホテルなどを調べ、被害者が広告会社勤務の「A.J.ヘンダーソン」であると突き止めるが、勤務先に照会してみると、被害者はヘンダーソンとは全く別人だった。コロンボはこの偽ヘンダーソンロングビーチ遊園地について尋ねていたことから遊園地に向かい、来園者を撮影している写真屋に当たって、被害者と、被害者の連れらしい男(=プレナー)が映った写真を手に入れる。

 コロンボは、有名な経営コンサルタントのブレナーを訪ね、偽ヘンダーソンについて尋ねるが、ブレナーは偽ヘンダーソンを引き抜こうとして会っただけだとしらを切る。またブレナーはアリバイを聞かれ、犯行当夜はオフィスで演説の草稿を吹き込んでいたという。コロンボは、被害者が正面から殴られていることから顔見知りに殺されたと推測しており、上着が脱がされていたことにも疑問に感じてした。

 また警察は、スタインメッツの使いをしていた男がローレンス・メルビルという前科者であることを突き止めるが、メルビルはスタインメッツに車に爆弾を仕掛けられ、口封じで殺されそうになる。死にかけたメルビルはスタインメッツのについて警察に洗いざらい話すが、容姿以外の詳しいことは何も知らなかった。

 コロンボは、ブレナーの秘書にブレナーのアリバイを確認するなどしていたが、CIAのコリガン部長に接触を受け、ブレナーの裏の顔はCIA諜報部員で西部地区のボスなので、捜査でブレナーを邪魔するなと警告される。

 コロンボはブレナーの屋敷を訪問し、飾られた写真からブレナーが朝鮮戦争中に軍のパイロットとして活躍した英雄だと知る。



●終盤

 コロンボはブレナーのオフィスを令状持参で訪問する。ブレナーの戦争中の写真はいまより髪が少なく、コロンボはブレナーがかつらを着用していると見抜いていた。そして、写真を加工し、ブレナーがかつらを取り髭を付けた姿にすると、謎の人物シュタインメッツそっくりになることを示す。

 さらにコロンボはブレナーが吹き込んだ演説草稿のテープを再現する。プレナーは時計が11回鳴っていることからこれは夜11時に吹き込んだものと主張するが、その演説には「中国のオリンピック不参加」について触れられていた。しかし、そのニュースは夜11時ではなく翌朝6時に発表されたニュースであり、前日の夜にブレナーがそれを知っているはずはなかった。

 コロンボは、ジェロニモ上着を脱がされていたのは、携帯していた拳銃をブレナーが持ち去るために脱がせたと気が付いていた。コロンボはブレナーに何故服を着せなかったかと質問し、ブレナーはアベックが通りかかって邪魔されたと自嘲気味に返事する。


監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ウィリアム・ドリスキル


感想

 評価は○(なかなか)。

 コロンボがCIAの諜報部員と対決するという今までに無かったパターンのエピソード。捜査を進めるコロンボがCIAに圧力を受けるなどサスペンス的な要素も盛り込まれており、他作品とは少し雰囲気が違うが、これはこれで面白く、なかなかにお気に入りの一作。


 本作は、過去作品とは違って話が大掛かりというかで、犯人も被害者も国の諜報機関CIAの諜報部員、殺人の動機は過去に南米で行われた二重スパイについて、捜査を進めるコロンボがCIA局員たちに尾行されたり自宅を盗聴されたりする、等、スパイ物のような雰囲気がある。また、(一見)殺人事件とは無関係のスタインメッツの暗躍も殺人事件の捜査と並行して進行するため、ますますその印象が強い。

 そして、そのような新規の要素を盛り込みつつも、コロンボ物として押さえるところはきちんと押さえていており、さらに、コロンボが遊園地で写真屋が撮影した写真を丁寧に調べてブレナーへとたどり着く過程や、自分が尾行されていることにきちんと気が付いている台詞など、コロンボが優秀であることがしっかりと描写されているのもファンとして嬉しい。


 しかし、惜しむらくは、前述のスパイ物要素にストーリーを割いているため、コロンボが細かい手掛かりを追って犯人と心理的な対決を演じるというシーンは少なめ。結局コロンボが突き止めたのは、「ブレナーには犯行時間にアリバイが無い」ということだけであり、犯人の特定に必要な三要素「動機」「機会」「事件とのつながり」のうち、機会しか突き止めていない。

 ブレナーが偽ヘンダーソンを殺害した動機は不明、犯行に関わったという物的証拠もなく、よくこれで令状が取れたものだと思わずにはいられない。まあコロンボ物は「犯人から何かで一本取れば勝ち」的な作品であるので、そこを追及するのは無粋かもしれない。


 本作の犯人ブレナーを演じたのはパトリック・マクグーハンで、第28話「祝砲の挽歌」で陸軍幼年学校の校長を演じ、今回も同様にいかなる状況でも冷静で動じない切れ者の犯人を見事に演じている。吹き替えの佐野浅夫氏の声も実に良い。ちなみにマクグーハンは本作の監督も行っている。


 このエピソードの事件解決のキーとなった「中国のオリンピック不参加」について。この回は1975年11月放送なので、中国が不参加表明したのは1976年のモントリオールオリンピックの事と解る。現在(2022年)からすると想像しにくいが、当時の中国は1952年ヘルシンキオリンピックに一度参加した後、ずっとオリンピックには不参加だったとのこと。ちなみに中国が再度オリンピックに参加するようになるのは、1980年のレークプラシッドオリンピックから。こういう国際的なニュースが事件の解決の鍵になる、というのは、スパイ物的なこのエピソードのオチとしてピッタリだと思う。

 本作では終盤、コロンボがガソリンスタンドで愛車プジョーに給油するシーンが描かれるが(コロンボが「二ドル分だけ」とか注文の仕方が細かいのがおかしい)、スタンドの店員が給油口が無くて戸惑うと、コロンボが指示したのが、車の左後ろのウインカー部分で、ウインカーを上にはね上げると給油口が現れるという面白ギミックは妙に楽しかった(ちなみにこのシーンは過去のNHKの放送とかではカットされていたところ)


 本作はメイン以外のキャストに過去作品で見た顔が続々出てくるのもファンとして嬉しい。

・クレイマー刑事 … ブルース・カービー。コロンボ物ではおなじみの顔。今回は被害者の身元調査で走り回らされ愚痴っているのがちょっと面白い。

・偽ヘンダーソンジェロニモレスリー・ニールセン。第7話「もう一つの鍵」に続く再登場。映画「フライングハイ」以降コント演技の俳優のイメージが強いが、本作では家弓家正氏のドスの利いた声が印象的。

・バー・シンドバッドの親父 … ヴァル・アヴェリー。第25話「権力の墓穴」の泥棒アーティ―役。

・デフォンテ … ヴィト・スコッティ。第19話「別れのワイン」でレストラン支配人、第20話「野望の果て」の背広屋の店主、などなど、いつもコミカルな役柄で楽しませてくれるお方


 さて、このエピソードのラストを締めくくるのが、有名な(?)コロンボの笑い話。
 ↓
 コロンボ「笑い話があるんですよ」
 ブレナー「ぜひ聞きたいね」
 コロンボ「ある日ポーカーとね、麻雀が賭けをした」
 ブレナー「どうなった?」
 コロンボ「前半はポーカーが優勢」
 ブレナー「ところが後半……、逆転」
 コロンボ「そのとおり」

 これ、全く意味が解らず毎回ポカンとさせられる。アメリカンジョークの類で翻訳すると意味が通じなくなるものかと推測するが、一度本場のコロンボファンにきっちり解説してもらいたいものである。


 作品のサブタイトル「IDENTITY CRISIS」は、意訳すると「自己認識の危機」。一体何がどうでこんなサブタイトルが飛び出してきたのかサッパリわからない。これも本場のファンに説明してもらいたい……

その他

 放送時間:1時間38分。
 
 

ピーター・フォーク小池朝雄,パトリック・マクグーハン…佐野浅夫レスリー・ニールセン家弓家正,オーティス・ヤング…渡部猛,デイビッド・ホワイト…早野寿郎,【演出】パトリック・マクグーハン,【脚本】ウィリアム・ドリスキル

 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

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