感想:NHK番組:推理系番組「謎解きLIVE [四角館の密室]殺人事件」第3回『第二夜(第二部・解決編)』(2016年1月24日(日)放送)

NHK 謎解きLIVE [四角館の密室]殺人事件 http://www.nhk.or.jp/nazo
放送 NHK BSプレミアム

全3回。

【※以下ネタバレ】


※「[四角館の密室]殺人事件」(全3回)の他の回はこちら→ #1 第1夜  #2 第2夜(前編)


※過去の「謎解きLIVE」の感想・まとめはこちら→ 「謎解きLIVE」シリーズ内容・感想まとめ

謎解きLIVE [四角館の密室]殺人事件「第二夜」(後編)
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2016-01-24&ch=10&eid=19458&f=2906
2016年1月24日(日) 午後10:50〜午後11:20(30分)


伝説の参加型ミステリー番組『謎解きLIVE』解決編。原作・綾辻行人。データ放送で参加し見事謎を解けば放送でニックネームが表示される。今夜全ての謎が明らかに!


伝説の参加型ミステリー番組『謎解きLIVE』解決編。原作は館シリーズで知られる綾辻行人。“四角館”を舞台にしたドラマ撮影スタッフを襲った悲劇の真相は?スタジオゲスト、マキタスポーツ市川紗椰ゲームクリエイター巧舟の推理はいかに?ドラマ出演は近藤芳正関智一須賀貴匡足立梨花ほか。視聴者もデータ放送で参加可能。見事推理できれば放送でニックネームが表示される。「今夜全ての謎が明らかになる!」



【出演】巧舟市川紗椰マキタスポーツ綾辻行人金澤美穂,椎名琴音,森岡龍須賀貴匡,古舘佑太郎,蔵下穂波,石崎なつみ,橋本和加子,御伽ねこむ足立理,奈緒,森本のぶ,日向丈,テイ龍進,足立梨花関智一近藤芳正,【司会】石澤典夫


 視聴者参加型推理番組の第四弾。今回は原作は「綾辻行人」。

 番組は二夜連続生放送で、まず推理ドラマの内容を一定の区切りごとに放送する。そしてキリのいいところでストップした後、おもむろにスタジオに招いている三人のゲストに「この中で次に殺されるのは誰でしょう?」とか「以下の手がかりの中で事件の解明のヒントになるものはどれでしょう?」とか、4〜5個の選択肢を与えて解答させる。また視聴者もゲスト同様に推理に参加可能で、テレビのデータ放送で自分なりの解答を送信できる。

 また番組だけでは無く、公式サイト http://www.nhk.or.jp/nazo 上でも、番組の進行に応じてリアルタイムで手がかりが提供される(番組中に放送されなかった新しい手がかりもあり)。

 第一夜で事件が発生し、翌日放送の第二夜で解答が発表される。解答の正解数に応じてポイントが加算され、最終的に視聴者の中で成績優秀者は番組最後に名前が発表される。


第3回 『第二夜(第二部・解決編)』 (2016年1月24日(日) 午後10:50〜午後11:20(30分)

■犯人

 犯人は「豊原英二」(美術チーフ)。


■推理の流れ

ステップ1

 二件の殺人とも、犯行現場はNHK(二本放送会社)のテレビスタジオ内。犯行当夜は大雨で交通機関が麻痺していたこと、また四角館の玄関の監視カメラの映像から屋敷に出入りしていたものがいないことが確認されている。そのため、犯人は、当夜テレビスタジオ内にいたか、スタジオに入ることが出来た以下の五人に絞られる。

早乙女夏希 堤の付き人
吉田絵里 アシスタントディレクター
豊原英二 美術チーフ
島谷正弘 照明チーフ
深迫めぐみ 『着ぐるみ探偵』主人の妹役



ステップ2

 犯人は何故書斎を密室にしたか。それは犯行後に書斎から逃げ出そうとしたとき、外に誰かがいると考えたから。書斎の外には青が置き忘れたスマホが残されていたが、その着メロは三子と桃の会話が使われていた。0:15に桃が青に電話をかけた際、その着メロが響き、それを聞いた犯人は書斎の外に二人がいると勘違いして、ドアからは出られないと判断し、ドアに鍵をかけ、脚立を使ってセットの別の方向から逃げ出した。青のスマホの着メロが二人の会話だと知っていればこんなことはしない。

 着メロの内容を知らないのは誰か。吉田と深迫は、昼間に青が自分の電話にかけた際、その声を聞いているので、容疑者から外される。また、早乙女は、ドラマ冒頭で、青が三子と桃の会話を録音して着メロにしたシーンを目撃している。


★吉田、深迫、早乙女 は犯人ではない。



ステップ3

 残る容疑者は豊原と島谷。しかし島谷は昼間に足を怪我していて、松葉杖をついているため、脚立を使用することは出来ない。

★島谷 は犯人ではない。


 消去法で「豊原英二」しか残らない。犯人は豊原英二。


■事件の真相

 3年前に急性アルコール中毒で死んだ小野寺未央(深迫のマネージャー)は、豊原の恋人だった。3年前、プロデューサーの蒲郡(がまごおり)は、深迫を口説こうとして、部下の松浦と安野に命じて小野寺に無理やり酒を飲ませるように指示をしていた。小野寺はそのせいで急性アルコール中毒で死亡したが、松浦と安野は小野寺が自室に帰るまでは生きていて、その後一人でまた酒を飲んだせいで死んだように偽装した。

 第一夜で三子は小野寺の死亡時の状況に不審な点が有ることを見抜いた。黄島はそれを豊原に伝え、豊原はまず安野を問い詰めたが、安野が小野寺が勝手に酒を飲んで死んだかのような暴言を吐いたため、カッとなって殴り殺した。そのあと、豊原は返り血を浴びないため「着ぐるみ探偵」の着ぐるみを着込んだ後、松浦を書斎に呼び出し刺し殺した。犯行後、着ぐるみを脱いで書斎から脱出した。


■その後

 早乙女が堤を洗脳して財産を狙っていたらしい事、また蒲郡がそれに協力していたらしい事、が判明した。早乙女は直後に失踪したが、彼女が蒲郡スマホをこっそり青の背広に隠しており、スマホを調べた結果蒲郡が小野寺の件を隠蔽しようとしていたことが判明し、蒲郡は逮捕された。

 三子は自分が小野寺の死について怪しい点があることを指摘したせいで今回の事件が起ったと落ち込むが、大学で犯罪心理学を勉強してがんばろうみたいに立ち直る。また桃は写真の専門学校に進むことになっていたが、助手/カメラマンとして三子をサポートするよ、みたいな励ましをしておしまい。

■感想

 いやぁ、いつもの通りですが今回も難しかった。解答パートでは実に楽々と犯人を絞り込んでいますが、「何故書斎を密室にして逃げ出したのか」がまず思いつかなかったし、それをクリアしてもその後どうやって容疑者を絞り込むか、もとても無理だし。

 しかし推理の勝負には敗れたものの、ちゃんと画像で手がかりが提示されていて、論理的に組み合わせればキチンと解決できる、という点で大満足でした。


■こちらもどうぞ

※「[四角館の密室]殺人事件」(全3回)の他の回はこちら→ #1 第1夜  #2 第2夜(前編)

※過去の「謎解きLIVE」の感想・まとめはこちら→「謎解きLIVE」シリーズ内容・感想まとめ


■参考:番組概要

ミステリーを愛してやまない諸君に送る極上の2日間、謎解きLIVE。

諸君は覚えているだろうか?2015年の海の日、7月20日の午前0時17分32秒に当推理クラブキャッツの執事が発した言葉を。
そう「次回の謎解きLIVEですが、なんとミステリー作家の綾辻行人様が事件を準備しているという噂でございます」と。


約束を果たす時が来た。
今回の舞台は「館」だ。
多くを語るまでもあるまい。「館」と言えば、綾辻による新本格ミステリーの原点だ。
必ずや諸君に満足いただけるものと信じている。


事件が起こるのは1月23日と24日の2日間。
今回は一夜目と二夜目の前半で事件が起こり、二夜目の後半が事件の真相を明らかにする時間になる見込みだ。

二夜目の前半と後半の間は50分間のインターバルがある。この時間、諸君には事件の真相を明らかにするため、灰色の脳細胞をフル稼働していただきたいと思う。しかし、諸君の中には「50分?フッ、5分もあれば十分だ」という方もおられるだろう。そのような諸君のために今回のスペシャル企画としてホームページで楽しめる仕掛けを用意している。ネットに繋がったPCなりスマホなりを手元に、是非、リアルタイムでご覧いただきたい。
また、今回、プレミアムメンバーからの投稿の一部をホームページで公開することにした。諸君の冴えた推理をより多くの人に知ってもらうチャンスが増えたわけだ。当方の事情で既存のWEBサービスのようにスピーディーにはいかず、またすべてを公開するわけにもいかないが推理の参考になるはずなのでご容赦願いたい。ちなみに一夜目の放送中から少しずつアップしていく予定だ。


ところで、推理を投稿するにはプレミアムメンバーになる必要があるが、そのためには試験をパスしてもらわないといけない。諸君ならそれほど難しくはないはずだ。トライしてほしい。
また、これまで同様、当ホームページで捜査情報を随時公開する。前回導入した事件現場の360度バーチャルリアリティー画像は気に入っていただけたようなので、今回も取り入れることにした。意外なものが見つかるかも知れない。事件の分析に役立ててもらいたい。


では、諸君の健闘を祈る。


Yukito Ayatsuzi綾辻 行人
新本格ミステリーの第一人者。『十角館の殺人』をはじめとする「館」シリーズ、『緋色の囁き』の「囁き」シリーズなど作品多数。 漫画化、アニメ化、映画化で話題になった『Another』や、 有栖川有栖と共同原作の推理ドラマ「安楽椅子探偵」シリーズなど 多岐にわたるジャンルで活躍。


演出 前野朋哉
脚本 登米裕一

http://www.nhk.or.jp/nazo/shikaku/about/index.html