【映画】感想:映画「めまい」(1958年:アメリカ)

めまい (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2020年6月17日(水)

【※以下ネタバレ】
 

巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の最高作ともされるサスペンス・ミステリー。過去にとらわれた美女をめぐる謎めいたロマンスと犯罪を鮮やかな色彩で描く傑作中の傑作。


舞台はサンフランシスコ。高所恐怖症のため、警察を退職したジョンは、旧友という男から妻・マデリンの尾行を依頼される。尾行を始め、次第にマデリンを愛するようになってしまうジョン。しかし、心を病んでいるというマデリンは身を投げてしまう。ところが、失意のジョンの目の前にマデリンにそっくりの女性が現れる…。鮮やかな色彩、官能的な演出と音楽、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の最高作ともされる傑作中の傑作。

 

あらすじ

 刑事だったジョン・ファガーソンは、犯人を追跡中に同僚が建物から転落死するシーンを目撃し、重度の高所恐怖症を発症して警察を辞めてしまう。やがてジョンは、大学時代の知人で今は妻の実家の造船会社を経営しているガビン・エルスターから連絡を受け、彼から妻マデリンの行動を調査してほしいと依頼される。最近マデリンは、頻繁に別人になったようなそぶりを見せ、本人にはその間の記憶がないのだという。

 ジョンがマデリンを尾行すると、100年前に死んだカルロッタ・バルデスなる女性の墓を訪ねたりしていた。カルロッタはマデリンの曾祖母で、若くして精神を病んだ挙句自殺したが、マデリンはカルロッタの事は知らない筈だった。

 ジョンは尾行中突然海に飛び込んだマデリンを助け、彼女と知り合ってしまう。二人は親しく会うようになり、ジョンはマデリンが最近悪夢に苦しんでいることを知る。やがてマデリンは、ジョンの目の前で教会の鐘楼に駆け上がり、ジョンが高所恐怖症で追いつけないでいるうちに、飛び降りて自殺してしまった。

 エルスターは妻の死後、財産を処分してヨーロッパに去った。ジョンは愛していたマデリンを救えなかったことでうつ病を発症し、入院する羽目になる。


 やがてジョンは回復して退院したあと、街でマデリンによく似た女性を見つけ、その女性の住居まで尾行して、強引に部屋に乗り込む。女性はジュディ・バートンという名前で、最初はジョンを警戒するものの、愛していた女性を失ったという話を聞いて同情し、ジョンと食事に行くことを約束する。

 実はジュディこそ「マデリン」だった。かつてジョンがマデリンと思って尾行していたのはジュディの変装で、教会の鐘楼に駆け上がった後、エルスターがあらかじめ殺していた本当のマデリンを投げ落として自殺したように見せかけたのだった。ジョンが高所恐怖症で上まで上がってこれないのもエルスターの計算のうちだった。

 ジョンはジュディを「マデリン」にそっくりにしようと、服・髪の色・髪型全てに指示を出し、自分の理想のままに変えさせる。ジュディは嫌がりつつも、ジョンのためにあえて彼の指示に従う。しかしある夜、ジュディが「マデリン」と同じペンダントをしたことでジョンは真相に気が付き、ジュディを教会へと連れていく。

 ジョンはジュディを引きずって強引に鐘楼に登り、エルスターとジュディが共謀して本当のマデリンを殺したのだと責める。ジュディは必死にジョンへの愛を訴えるが、そこに何者かの影が現れたため、怯えたジュディは鐘楼から転落して死ぬ。登って来たのは修道女だった。ジョンが死体を見下ろしながら呆然としているシーンでTHE END。


感想

 評価は○。

 最後にどこに着地するつもりなのか、見ている最中にさっぱり予測がつかない、確かに「サスペンスと言えばこういうもんだよな」的映画。


 原作はフランスの有名作家コンビ・ボワロー&ナルスジャックのサスペンス小説「死者の中から」で、その舞台をアメリカに移したもの。あのコンビの作品が原作とは、調べるまで全然知りませんでした(原作未読)
 ↓

死者の中から - ボアローナルスジャック
https://www.aga-search.com/writer/boileau_narcejac/3.shtml

www.aga-search.com

重い高所恐怖症にかかり、警察を辞め弁護士となったフラヴィエールは、友人の実業家の頼みで素振りがおかしいという妻の尾行を引受けた。自分を自殺した曾祖母の生れ変りと信じる彼女に自殺の気配があるというのだ。確かにその行動は奇怪だった。苔むした墓地で、あるいは川岸で彼女は放心したように物思いに耽っていた。そしてある日、鐘楼の高みに登った彼女は高所恐怖症の彼をふりきり突如、暗い死の淵へと身を投げた……!
ヒッチコックの『めまい』の原作。謎と恐怖と心理のミステリの三要素を兼ね備えるフランス・サスペンス小説の代表作

 
 最初は、妻が先祖の霊に取りつかれたとか言い出して「心霊映画かな?」とか思っていたら、途中でマデリンがいきなり飛び降り自殺して「?!」となり、そのあと主人公のジョンが精神を病んだ挙句マデリンそっくりの女性に執着してどんどん狂気化するサイコ映画化していくので、最後の最後まで「一体どうなるんだよ……?」とハラハラしっぱなしでした。確かにそういう意味ではサスペンス映画として大成功ですよね。

 最後はジョンは真相に気が付いて、怒りで高所恐怖症が治ってしまうけど、代わりにジュディは死んでしまいました、という突き放したような結末で、「へっ?」となってしまいました。まあ、見終わった後のこのモヤモヤした気持ちは、作り手的には成功なんでしょうね。

 まあ、悪くはない映画でした。

おまけ

NHKの映画サイトの内容紹介文がひどい……、「失意のジョンの目の前にマデリンにそっくりの女性が現れる」って、これ2時間10分の映画で1時間30分目あたりの出来事なんですけど? 話の半分以上ばらしてるじゃん?

・ジョンの女友達のミッジって何のためにでてきたの? 途中で消えちゃったけど。
 
 

めまい
BSプレミアム2020年6月17日(水) 午後1:00~午後3:10(130分)



【製作・監督】
アルフレッド・ヒッチコック
【原作】
ピエール・ボワロー、トマ・ナルスジャック
【脚本】
アレック・コッペル、サミュエル・テイラー
【撮影】
ロバート・バークス
【音楽】
バーナード・ハーマン
【出演】
ジェームズ・スチュワートキム・ノヴァクバーバラ・ベル・ゲデス、トム・ヘルモア ほか



製作国:
アメリ
製作年:
1958
原題:
VERTIGO
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 
 

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