【ゲームブック】感想:ゲームブック「ソウル・アドベンチャー スプリンターを守れ」(わきあかつぐみ&冒険企画局/1988年)【クリア済】

ウォーロック 第23号

ウォーロック 第23号 大型本 1988/10/1
http://www.amazon.co.jp/dp/439080023X
出版社:社会思想社 (1988/10/1)
発売日:1988/10/1
大型本:64ページ

【※以下ネタバレ】
 
 

概要

 社会思想社のゲーム雑誌「ウォーロック Vol.23 1988年11月号」に掲載されたミニゲームブック。作者「わきあかつぐみ」氏は、藤浪智之氏の別ペンネーム。

 1988年夏に開催されたソウル・オリンピックをテーマに、秘密諜報部員が活躍する軽いノリのスパイアクション物。


あらすじ

 1988年8月。ソウル・オリンピック開催が間近に迫ったころ、冒険企画局に所属する秘密諜報部員・ジョニー毛島(もうしま)は新たな任務を命じられる。それはカリブの小国・西ユダマ公国からオリンピックに出場予定のスプリンター・カルロスを、日本に滞在する間護衛するというものだった。一見簡単に見えた任務だったが……


ゲームシステムなど

 パラグラフ数は160。「パラメーター」「サイコロ振り」「アイテム使用」といった要素は無し。

 ごくシンプルな、選択肢を辿って話を読み進めていくだけの分岐小説型ゲームブック。ただし一ヵ所だけフラグがあり、持ち物によってストーリーが分岐する箇所があるので、そこだけは注意が必要です。


感想

 評価は△。プレイ時間:約1時間。


 ウォーロック誌によく収録されていたミニゲームブックの一つで、雑誌発売当時まだ比較的新しい話題だったソウル・オリンピックを絡めたスパイアクション物。コミカルな雰囲気や漫画調のイラスト(絵師は大迫純一氏)などでパッと見は面白そうだったですが、やりこんでみるとこれがどうも今一つで……(涙)


 展開としては映画や漫画などのスパイ物でお馴染みの「銃撃戦」「格闘」「カーアクション」「爆発」「謎の美女」といった場面が次から次へと登場するのですが、パラグラフ数160の小作品にそれらをぎっしりと詰め込んでいるため、とにかく展開が慌ただしい、というか、殆どまともな物語になっていません。

 例えば、さっきまでカーアクションで生か死か!?という展開だったのに、すぐ直後のパラグラフで「君がホテルに帰るとドアに手紙が挟んであった。さてどうする?」的に、唐突に全く別の場面に移ってしまうので、あまりに急激なシーンの切り替わりぶりに、「パラグラフ番号を間違えたのか? それともバグで関係のない所に飛ばされたのか?」と確認することが何回もありました。

 とにかくスパイ物にありがちな派手なシーンだけを用意して、それを適当に(?)繋ぎ合わせているだけなので、しっかりしたストーリーという物は無いに等しく、クリアしても話として語るべき内容がありませんでした(涙)


 また豊富な結末が用意されている、というと聞こえがいいのですが、選択によって話がむやみやたらと発散していく作りのため、いつの間にか選手のボディーガードをしているという設定がどこかにいってしまい、妙な結末にたどり着いてそのままエンド、というパターンがあまりにも多かった。これでは「スプリンターを守れ」というタイトルに偽りありです。


 さらに、途中で唐突に「ぼうけんのしょ」云々と言い出したり「クレイジークライマー」のパロディ描写が始まったり、とトンデモ展開も多く、ここまでくるともうナンセンスドタバタギャグなのですが、その割にスパイ物として真面目で真剣な結末も有ったりするし……

 と、正直、この作品をどういう目で評価して良いのかサッパリわかりません。まあ有りか無しかで言えば有りの方ですが、真面目にプレイする作品でも無かったなぁとそういう気持ちです……、ウーム、


おまけ

 イラスト担当の大迫純一氏は、当時漫画家でしたが、後に小説家に転向して「神曲奏界ポリフォニカ THE BLACK」シリーズなどを書かれた後、2010年に亡くなっています。