【SF小説】感想「カルタン人の秘密基地」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 646巻)(2021年8月4日発売)

カルタン人の秘密基地 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-646 宇宙英雄ローダン・シリーズ 646)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123330
カルタン人の秘密基地 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-646 宇宙英雄ローダン・シリーズ 646) 文庫 2021/8/4
H・G・エーヴェルス (著), マリアンネ・シドウ (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2021/8/4)
発売日:2021/8/4
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

テラに帰還したジュリアン・ティフラー、ニア・セレグリス、ドモ・ソクラトはシャドの訓練を続けウパニシャドの段階を上っていく


ジュリアン・ティフラー、ニア・セレグリス、ドモ・ソクラトのシャン三名は、十段階あるウパニシャドの教えの第四段階ハモシュを修了し、さらにその上をめざしていた。通常なら数年かかる修行だが、どうやらストーカーは、三名を異例のスピードで昇進させるつもりらしい。そんなとき、ティフラーの前に平和運動家や未知団体“スター・ウォリアーズ”のメンバーがあらわれ、恒久的葛藤の教えを捨てろとうながすのだが…

 

あらすじ

◇1291話 スター・ウォリアーズ(H・G・エーヴェルス)(訳者:嶋田 洋一)

 ティフラーたちはチョモランマに帰還したが、ティフラーの前に、平和主義を謳う「ホワイト・ユニコーン」と、人類帝国の再興を目指す「スター・ウォリアーズ」の二つの組織が接触してきた。両者はいずれもティフラーにエスタルトゥと手を切るように要求してくるが、すぐにエスタルトゥ種族に追い払われた。その後も、ティフラー、ニア・セレグリス、ドモ・ソクラトはさらなる修行を続け、遂に全ての段階を修了し「永遠の戦士」の称号を与えられた。(時期:不明:NGZ430年頃)

※初出キーワード=ホワイト・ユニコーン、スター・ウォリアーズ、フィトゥ


◇1292話 カルタン人の秘密基地(マリアンネ・シドウ)(訳者:嶋田 洋一)

 M-33/三角座銀河。カルタン人ダオ・リン=ヘイは謎の存在「アルドゥスタアル」が、カルタン人の指導者層にも呼びかけ種族を導いてきたことを知る。ダオ・リン=ヘイはアルドゥスタアルの指示に従い秘密基地惑星を目指すが、その後をM-33に潜伏していたニッキ・フリッケルたちが尾行していた。ニッキたちは、秘密基地惑星「ヴァアルサ」に到着し、この星でカルタン人が超遠距離航行用の多段式宇宙船を建造していることを突き止めた。しかし直後銀河系種族とカルタン人の間に不干渉の協定が結ばれ、情報は重視されないまま終わる。やがて、エスタルトゥに向かっていたハンザ・キャラバンが謎の艦隊に全滅させられたという知らせが入る。(時期:NGZ430年7月30日とその前後)

※初出キーワード=惑星ヴァアルサ


あとがきにかえて

 新型コロナのワクチンを接種した話


感想

・前半エピソード 原タイトル:DIE VERBLENDETEN(意訳:見えざる者)

 ティフラーたちが速習コースでウパニシャドの修行をクリアするまでのお話。エーヴェルス作品らしく(?)、また「タッチャー・ハ・ハイヌと血縁のシガ星人」だの「完全無人ハルト人型ロボット」だの癖のあるキャラ・メカがさらっと登場しています。

 最終盤の、アンソン・アーガイリスがストーカーマスクでオーグ・アト・タルカン像を盗んだ云々の辺りが何かよくわからない……、アーガイリスはスター・ウォリアーズから像を取り返しただけ、と自己申告していますが、これは本当なのか、口から出まかせなのか、どっち?

 原題は、どうも「ティフラーがウパニシャドの修行で洗脳されて、真実が見えなくなっている」という意味の様です。難しいな。


・後半エピソード 原タイトル:DAS VERSTECK DER KARTANIN (意訳:カルタン人の隠れ家)

 M-33/三角座銀河でのニッキ・フリッケルたち三人組の活躍話。このトリオ、無限アルマダサイクルの序盤1107話以来の登場です。懐かしい、というか、もっと頻繁に使ってあげればいいのに。登場回数が少なすぎて思い入れが出来ない……

 最後、銀河系に大艦隊が迫っている、という不穏な感じで〆になります。一応サイクルの締めに向かってはいるようだ……
 
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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