【SF小説】感想「死者のハーモニー」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 664巻)(2022年5月10日発売)

死者のハーモニー (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-664)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123659
死者のハーモニー (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-664) 文庫 2022/5/10
マリアンネ・シドウ (著), ロベルト・フェルトホフ (著), 林 啓子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/5/10)
発売日:2022/5/10
文庫:301ページ

【※以下ネタバレ】
 

三角座銀河情報局のフリッケルとアルカウンらはカルタン人の全知者たちの秘密を知るべく、彼女たちの船を発見し追跡を開始するが……


カルタン人の背後に全知者と呼ばれる指導グループがいると知った三角座銀河情報局のチーフ、ニッキ・フリッケルは、彼女たちの持つ秘密を突きとめるべく、盗聴能力を持つポエル・アルカウンとともに“ワゲイオ”で出発した。めざすは三角座銀河辺縁の星々のない宙域。やがて全知女性の宇宙船を発見し、追跡を開始する!だが全知女性もまた、みずからの秘密を守るため、恐るべき陥穽をその行く手にしかけていた…!?

 

あらすじ

◇1327話 全知者の秘密(マリアンネ・シドウ)(訳者:林 啓子)

 PIG(三角座銀河情報局)は、カルタン人を陰から操る「全知者」たちについて詳細を突き止めるため、行動を開始した。一方、全知者たちはPIGの追及を逃れるため、自分たちの身代わりを集団自決させ、全知者が全滅したように偽装した。しかしPIGはその計略を見抜き、ダオ・リン=ヘイを捕らえることに成功した。同時にPIGは数百年前に宇宙旅行を開始したはずのカルタン人が、実際は数千年前に惑星植民を行っていたという事実を発見した。(時期:不明:NGZ446年6月頃?)

※初出キーワード=恒星ニュレロ、惑星ニュレロ


◇1328話 死者のハーモニー(ロベルト・フェルトホフ(新))(訳者:林 啓子)

 シオム・ソム銀河の歌手種族オファラーの一人サラアム・シインは、傑出した名歌手だったが、恒久的葛藤の哲学に反感を抱いていた。やがてサラアム・シインはアラスカとの出会いをきっかけにネットウォーカーの一員となり、また首都惑星マルダカアンの音楽学校の校長として「生命ゲーム」に重要な役割を果たす地位に上り詰めた。ネットウォーカーは、ロワ・ダントンとテケナーがシオム星系で開催する生命ゲームである計画を実行しようとしていた。(時期:不明:NGZ430年~446年頃)

※初出キーワード=死の歌(ナムバク・シワ)


あとがきにかえて

 本巻で初登場した新作家ロベルト・フェルトホフの経歴の紹介


感想

・前半エピソード 原タイトル:DAS GEHEIMNIS DER WISSENDEN(意訳:全知者の秘密)

 PIGが三角座銀河で全知者を追い回す話。シドウの持ちキャラで、超能力を使うと火を噴いてしまう危険な超能力者ポエル・アルカウンさんが再登場。シドウにしてはちょっとイマイチで、ややまだるっこしい話でした。

 ところで、P150での「ヴァイ・シンはカタストロフィを~」のところは、「ダオ・リンは」の間違いですよね? 意味が通じなくてビックリした。多分これは日本側のミスではなく、ドイツ語の原書の段階で間違っていると予想……



・後半エピソード 原タイトル:DIE HARMONIE DES TODES(意訳:死のハーモニー)

 作家チームの新メンバー・ロベルト・フェルトホフのシリーズデビュー作。既存のキャラは脇役にして、新キャラのサラアム・シインを主役に据えて一本書いていますが、結構読ませました。

 フェルトホフは1962年生まれで、ドイツでこの話が出版されたのが1987年と書いてあるので、なんと25歳くらいでデビューです。なんでもドイツではフォルツと比較されるくらいの人気だったそうですが、デビュー作が「シリーズのメインキャラは出てこないサイドストーリー的な話」ってところがフォルツそっくりじゃん!? そりゃ比較されますわ。
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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