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アルドゥスタアルへの旅 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/6/5
マリアンネ・シドウ (著), ロベルト・フェルトホフ (著), 宮下 潤子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/6/5)
発売日:2024/6/5
文庫:272ページ
【※以下ネタバレ】
ギャラクティカムが去ってから船内社会の混乱が激化する《ナルガ・サント》の窮状を救うためダオ・リン=ヘイらが行動をはじめる
あらすじ
◇1427話 アルドゥスタアルへの旅(マリアンネ・シドウ)(訳者:宮下 潤子)
NGZ1143年10月。ダオ・リン=ヘイは、巨船《ナルガ・サント》が650年前に事故で破壊され、今は残骸の中で生存者の子孫が困窮していると知り、救援に向かった。ダオ・リンはギャラクティカーの支援で船内の混乱を鎮静化させた後、残骸にリニアエンジンを取り付け、故郷アルドゥスタアル銀河(M-33/三角座銀河)へと帰還した。直後、ハンガイ銀河から侵入してきたカルタン人の一派「カラポン人」が船を占拠し「モトの真珠」を差し出すように要求するが、カルタン人艦隊が追い払った。ダオ・リンは“モトの真珠”とは、ローダンたちが探しているデータ記憶装置“ミモトの宝石”の断片と直感し、入手のためカラポン人の帝国の中枢「ベントゥ・カラパウ」を目指すことにした。(時期:NGZ1143年10月6日~11月中旬頃)
※初出キーワード=カラポン人。カラポン帝国。モトの真珠。ベントゥ・カラパウ。
◇1428話 《バジス》の守護者(ロベルト・フェルトホフ)(訳者:宮下 潤子)
NGZ1143年4月。銀河系船団の一隻《モノセロス》は、宇宙を漂流する《バジス》のパーツを略奪者から守るため、ただ一隻で警戒の任務に就いた。やがて《モノセロス》の乗員たちは、《バジス》のパーツが衝突の直前に突然コースを変えて無事にすれ違うという怪現象を何度も目撃する。やがてパーツ群の中にカラポン人が隠れており、彼らも《バジス》組み立てを目論んでいることが判明するが《モノセロス》の乗員たちに追い払われた。10月、《シマロン》が《バジス》パーツ宙域に到着した。(時期:NGZ1143年4月~10月20日)
※初出キーワード=なし
あとがきにかえて
宮下 潤子氏
・ドイツのサウナは男女混浴という話
感想
・前半エピソード「アルドゥスタアルへの旅」 原タイトル:DIE REISE NACH ARDUSTAAR(意訳:アルドゥスタアルへの旅)
ダオ・リン=ヘイが《ナルガ・サント》の残骸を直して故郷アルドゥスタアル銀河へと帰還する話。
また《ナルガ・サント》内の悲惨な状況を収拾するのに一話を使うのかな……、と思っていたら、その展開は半分で切り上げ、後半は宙賊集団(かもしれない)カラポン人の襲撃話に切り替えて、なかなかの密度でした。結構面白かったです。
作者のシドウは、今までは50話に1話くらい書いていれば御の字、という感じでしたが、このサイクルから暇になった(?)のか1449話までにさらに三話執筆しており、ダオ・リンの冒険談は今後も続くようです。
・後半エピソード「《バジス》の守護者」 原タイトル:WACHTER DER BASIS(意訳:《バジス》の番人)
《バジス》パーツの監視に置き去りにされた《モノセロス》の物語。
まあ以前から「何も起きそうにない《バジス》のパーツの監視に残された船の乗員は退屈で絶望しているのでは……」とかぼんやりと考えていたのですが、まさにその状況を描いた一エピソードでした。
その他
本巻の表紙絵には皇帝アンソン・アーガイリスとヴァリオ500が描かれていますが、このどちらも本巻のエピソードには登場しません(というかアーガイリスは650年前から行方不明のまま……)。イラスト担当の工藤稜氏との連絡ミスとかそういうのでしょうか?